宮城県柴田郡川崎町にある「オボコンベ山」。その名前の由来は、山容が赤ん坊(おぼこ)をおんぶした姿に見えることにあるといわれている。標高595mの低山ながらも、登山道には徒渉(としょう)や鎖場、藪漕ぎもあり、初心者には不向きな山である。しかし、ハードコースながらも人の手があまり入っていない自然の光景が素晴らしかったので、オボコンベ山に登った様子をレポートする。
余談ではあるが、筆者はおもに東北の山を登っている登山経験者である。登山情報を事前に調べ、注意点を理解したうえで登山している。オボコンベ山は万人向けの山ではないので、登山経験の少ない人は登らないようにしよう。以下のレポートでは、登山で注意すべき点について触れるので、安全登山の参考にしてほしい。
■まぶしいほどの新緑と楽しい沢歩き
5月下旬、11時過ぎに登山口へと着く。時間が遅めなのは、オボコンベ山の山行は往復約3時間程度だからだ。登山口付近には、自分たちの車のほかに1台だけ駐車していた。登山口から歩き始めてすぐ沢へ出る。登山道は向こう岸に続いているので、流れを渡って進む。水深は浅く、靴底を濡らす程度だ。防水の登山靴であれば徒渉は問題ない。
ふと見上げると、木々の緑がまぶしい。さらに、木漏れ日や風でさざめく木々の音が心地よい。新緑の季節は、展望のない樹林帯でも楽しいのだ。
沢沿いの道を何度も徒渉を繰り返しながら登っていく。沢をよく見てみると、平たい岩盤の上を水が流れる、いわゆる「ナメ床」が広がっている。キレイな光景だが、沢沿いの道は滑りやすいので気を引き締めて歩いていく。