■経験談7. 雨天のテント撤収(起床直後から雨に打たれる憂鬱さ)

 宿泊を含む縦走では、雨に出くわす確率が上がる。標高の高い山ではさらに天気が変わりやすく、また日数が多いと先の天気が読みづらくなるためだ。

 そんな中行なうテント泊ほど憂鬱なことはない。設営はもちろんだが、まだ日が昇らない朝早くから、雨に打たれテントを撤収しなければならない憂鬱さは、筆舌に尽くしがたい。

 こうなるとテント撤収のスピード、手際のよさが重要となる。テントの扱いに慣れておけば、雨の中でも素早く撤収できる。上下のレインウェアにゲイターを着用して挑もう。

雨水を吸ったテントで更に重くなったザックを背負い、斜面を登る(撮影:彩)

■経験談8. フライシートが雨水を吸収 → 元々重いザックの重量が増加

 重い腰をあげてテントを撤収したら、今度はそのテントをザックに詰め長い道のりを歩かなければならない。しかも、撥水処理を怠ったテントのフライシートは水を吸収し、テントの重量が増していることに気づく。撥水処理をしておけばよかったと後悔しても時既に遅し。

 濡れたテントをそのままザックに詰め込んでしまうと、ザックの中を濡らすことに。防水のスタッフバッグやビニール袋を用意し、その中にテントを入れるようにしよう。

■経験談9. 前日に中まで濡れた靴が乾ききらず、濡れた靴を履くことに

 先述のように、レインパンツやゲイターを履くのを面倒くさがっていると、高確率で靴の中まで濡れてしまう。そうなると縦走は地獄だ。

 晴天の昼間に乾かせれば快適に山行を行えるが、そんなタイミングは期待できない。せめて替えの靴下を複数用意して歩きたい。

テントを設営し、束の間の晴れ間の恩恵を受ける(撮影:彩)

■経験談10. 雨の中歩いた山は、絶対にリベンジしたくなる

 雨の中の山行を行うと、山頂に立ったときには奇跡的に晴れないか、ほんの少し期待を膨らませてしまう。しかし筆者の今までの経験では、その期待は裏切られ、山頂でも景色はほとんど見られなかった。

 毎回のことながら期待はすべきではないのだが、今度は晴れた日に…… とリベンジを誓うのだ。

雄大な景色が見られるはずであった、三俣蓮華岳(みつまたれんげだけ)(撮影:彩)

■雨の中の山行は基本NG! 万が一のときの知識として活用すべし

 事前に雨が降るとわかっている場合は、基本的には山行延期が賢明だ。通常時よりも道迷いや滑落、低体温症などさまざまなリスクが高まる。

 天候が悪いときはリスク回避のためにも、事前の情報収集はしっかりと行ないたい。今回紹介した雨の山行は筆者の体験談だが、もしもの場合に備えたケーススタディとして役に立てば幸いである。