■「緑茶と紅茶の違いを知っていますか?」

 生産地による違い以前に、日本茶が何ものか知らない人も意外と多いから、そこからお話しすることもある。

 「日本茶と紅茶は違う葉っぱなんでしょ?」という質問をする人がいる。イエスともいえるし、ノーともいえる。

 「そもそも、緑茶も紅茶もウーロン茶もすべてお茶の樹の葉からつくられるんだ。お茶の樹の葉を十分に発酵させれば紅茶、発酵を加熱することで止めればウーロン茶に、揉んだ茶葉を蒸して 乾燥させることで発酵を止めれば日本の緑茶になる。そういう意味ではノーだね」

 「でも、紅茶に適した渋みの強いインド種と緑茶に適した中国種に大別できるから、よく飲んでいる輸入の紅茶と日本茶では違う葉っぱだということもできる。そういう意味ではイエスだ。日本では在来種をもとに、栽培のしやすさを求めて明治期以降現在まで品種改良が進められている。現在は、『やぶきた』が8割近くだが、九州で開発された『さえみどり』や静岡で開発された『つゆひかり』など、各地で個性的な品種が生まれているんだよ」

川根の山の茶畑。茶葉を手揉みしたあとに蒸すことで「旨味」が引き出される

■「日本茶を知る旅をしませんか?」

 「日本茶の個性は生産地や品種に“生産者の色”も加わって生まれているんだ。どんなふうに茶樹が育っているのか、どのように加工しているのか。知りたかったらぜひ生産地を訪ねてみてよ。工場で茶葉を蒸した香りを嗅いだら忘れられないよ。農家の縁側で飲む日本茶はスペシャルだよ」

 実際に体験をしながら日本茶への理解を深めてほしいから、こんなふうに旅に誘う。実際にツアーを企画したこともある。生産地に足を運べない人にも“生産者の色”を知ってほしいから、私の店では生産者に来てもらって個性ある茶葉を紹介してもらう、というイベントを行っている。ともかく、まずは専門店に行っていろんなことを質問しながら試飲をしてみてほしい。その体験が自分のスペシャルな旅そのものになるはずだ。

(文・写真/ステファン・ダントン  編集協力/田村広子、スタジオポルト)

「ステファン・ダントンの茶国漫遊記」vol.21 (2018.2.5)

 

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