■森を知り、森を学ぶ。イベント「Shindo.」で体験したこと

イベント初日に参加したメンバー。埼玉県や滋賀県から訪れていた人も(撮影:やまとわ)

 筆者が暮らしているのは、中央アルプス南アルプスの谷間に位置する長野県伊那市という街だ。森林面積は総面積の82%で、すぐ森へアクセスできるという恵まれた環境にある。にも関わらず、登山以外で森に入ることはほとんどない。正確に言うと、登山道を歩くこと以外に、森の遊び方を知らなかったのだ。

 そんな中、伊那市に本社を構え、森という資源に価値と利用を生み出すべく事業を展開している企業やまとわが、森と本気で遊べるプログラムを盛り込んだイベントShindo.を開催することを知った。2日にわたるイベントで用意されていた体験プログラムは、森歩き、山菜採り、ハンモック、焚き火、ロープワークでの木登りなど。森の中で多様な体験ができることに魅力を感じ、イベントへの参加を決めた。

 体験プログラムの主な舞台となったのは、やまとわが管理を請け負っている人工林。ここには、ヒノキ、スギ、カラマツ、アカマツなどの針葉樹や、クヌギ、ホオノキなどの広葉樹が植えられている。森の香りや音に意識を向けてみたり、樹木や山菜の種類を調べたり、木によじ登って森を見下ろしてみたり……。やまとわの方々と体験した森の時間は、新しい気づきの宝庫だった。

 ちなみにイベント名のShindo.に込められている意味のひとつは、“森の道”だ。昔から人と森を繋いできた道。しかしながら人と森との関係性が希薄になったことにより、この森の道が消えかけているという。今回のイベントのような取り組みは、人と森との関係性を取り戻し、森の道を次世代へ残すための試みなのだ。読者のみなさんも、ここでピックアップした森遊びを実践してみて、自分なりの森の道づくりを体感してほしい。

株式会社やまとわ:https://yamatowa.co.jp

左は間伐が行われた後の針葉樹林で、右はしばらく人の手が加わっていない広葉樹林。森はさまざまな表情をもつ(撮影:松元麻希)
「ロープワークでの木登り」体験!