近年、カヤックフィッシングという釣りのスタイルが注目を集めている。カヤックフィッシングとは、釣りに特化した構造のカヤックを使用して自由なスタイルで釣りを楽しむ遊びである。この釣りの最大の魅力は何もかもが自由な点にある。乗り合いやチャーター船といった遊漁船のように細かなルールが決められた釣りとは違い、自分の好きな時間に、好きな場所へ出向き、好きなスタイルで釣りを満喫できるのである。

 カヤックは重量が軽くスピードも速い。また、操作性に優れているため、初心者でも簡単に扱えるのが特徴。さらに水面との距離が近いため、心地よい潮風や波音、海上から見る景色など、非日常的な感覚を味わうことができ、乗っているだけで癒される。

 カヤックフィッシングに似た釣り方に手漕ぎボートを思い浮かべる人も多いだろう。しかし、手漕ぎボートはカヤックに比べると、重量が重くスピードが出ない。また、前進するコツをつかむまでに時間を要する場合も多く、初めての手漕ぎボートではその取り扱いに苦戦する人も多い。機動力や操作性においてカヤックは優秀な乗り物と言えるだろう。

 カヤックフィッシングのデメリットは、初期投資の費用がかかることや、相応の体力が必要といった点が挙げられる。しかし、近年はカヤック本体の価格が格段に安くなっており、安価なものでは3万円台で購入可能な商品もある。また、足漕ぎカヤックや、積み下ろし時に負担を軽減するカヤックリフターなどの商品も充実。体力に自信がないからと諦めていた人でも、カヤックに挑戦しやすい環境が整ってきた。

■カヤックフィッシングで釣れる魚たち

カヤックフィッシングは魚種が豊富でおもしろい(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 カヤックフィッシングでは実に多くの種類の魚がターゲットになる。マダイ、ロックフィッシュ(アラカブ、アカハタ、オオモンハタ)、青物、キス、ヒラメ、マゴチなど、例を挙げればきりがない。大型のマグロなどを除き、遊漁船で釣れる魚は一通り狙える。ただ、魚を釣るうえで大切なのは、釣りたい魚を定めて、ポイント、仕掛け、道具(竿やリール)を、その魚に合わせることである。