■サバ×トマトのうまみの相乗効果
清水食品「サバ・トマレモ トマト&レモン味」も、冷たいままで十分ウマかった。サバのうまみ成分(主にイノシン酸)とトマトのうまみ成分(主にグルタミン酸)が合わさることで、うまみの相乗効果が出ているのだ。
さらにレモンの利かせ方が秀逸で、レモンの皮に含まれるわずかな苦みまで味わえる。けっして嫌な苦みではなく、むしろ生のレモンを連想させる澄明な風味があり、全体の味に奥行きが増している。
汁ごと冷製パスタにしたら「絶対ウマイだろ!」と思いつつ、毎回そのまま食べきってしまった。本来、サバ缶は冷たい状態で食べると青背の魚特有の匂いが気になるんだけど、これはまったく気にならない。トマトとレモンのおかげだと思うけど、ホントよくできてます。
■豆腐チックな匂いがしない
最後はハンバーガーのパティの缶詰をご紹介。国分グループ本社とモスフードサービスが共同開発したもので、モスバーガーで提供されている「グリーンバーガー」のパティを缶詰で再現したものだ。
グリーンバーガーは、動物性原料を使わない代替肉で出来ている。大豆などの植物性原料を使い、いかに本物の肉に近づけるかが代替肉共通の課題なんだけど、これはかなり成功している。というのも、代替肉によくある豆腐チックな匂いがほとんどしないのだ。
グリーンバーガーは歯応えも素晴らしく、脂身を噛んでいるようなムチムチした部分と、赤身を噛んでいるようなモロモロした部分が混在している。味付けのトマトソースは甘酸っぱくて、刻んだごぼうや人参が入っているから食感が賑やか。ちょっとモスバーガーのミートソースに似ている。
パティは1缶に2枚入っているので、ハンバーガーにするなら2個作れる。あるいは1個でパティを2枚重ねにするのもいいかも。
いつもなら缶詰は湯せんして食べるのが僕のこだわりだ。加熱によって食品中の油脂類が溶け、舌触りと香りがだんぜん良くなるからであります。
そんなこだわりが、コロナ禍の部屋キャンで少し変わった。火が使えないおかげで、「冷たいままでも美味しい缶詰」という新ジャンルに気付いたのだ。
実際のアウトドアシーンでも、火が使えないことはよくある。そんな時にも役立ちそうな体験だった。
<今回の缶詰情報>
・ホテイフーズコーポレーション「富士宮やきそば」 ¥540/110g
・清水食品「サバ・トマレモ トマト&レモン味」 オープン価格(¥300前後)/140g
・国分グループ本社「グリーンバーガーソイパティ・トマトのソース」 ¥648/140g
※缶詰は各メーカーから提供されたものです。