■絶滅危惧種の「タマノホシザクラ」を見つけた!

 駐車場から大田切池を通り過ぎパークセンターに向かう途中にタマノホシザクラに関する小さな案内表示がある。タマノホシザクラの見分け方や生えている場所がわかりやすく解説されている。

この案内板を見ないと目的のサクラを見つけるのは難しいだろう

 近くに咲いていたサクラの“がく”を見てみると、なんと星形になっている。なんだ、近くにもあるじゃないか。あっけなく見つけることができたと思ったが、それは間違いであることは、後になってわかるのだった。

“がく”は星形。早くも発見と胸が高まったが……

 念のため、案内図に記載された場所を目指して歩いてみる。内裏池の近くにその場所はあった。が、それは先ほど自分がタマノホシザクラと思っていたものとは全く違う。ここで私が目にしたのは、白くて花びらは半分ほどしか開いていないなんともかわいらしいサクラだった。確かに、先ほどの案内表示にあった写真では、花びらが白くて半開だったことを思い出した。

うつむいて恥ずかしそうに咲くタマノホシザクラ。派手さはなく、清楚な印象だ
花びらは白。“がく”は深紅で幅の広い星型だ

 しかも、ほぼ満開に近く見頃を迎えているというのにぽつぽつとしか花をつけず、ソメイヨシノの華やかさとは別の世界を表現している。今まで自分の中にあったサクラとは印象が大きく異なる。栽培種ではなくいかにも野生種らしい花のつき方だ。

雑木林に囲まれた谷戸でひそかに咲いていた。幹の根元から枝分かれするのも自分の中でのサクラのイメージと違っていた

 普段花見を楽しむ場合、“がく”を気にすることはまずない。ふと、よく見るソメイヨシノはどうなっているのだろう、と思い始めた。そこで、別の場所でつぼみをほころばせ始めたソメイヨシノと比較してみた。

花弁は全開し、“がく”は緑色が混ざって細いソメイヨシノ。花の開き方、“がく”の形・色など、違いは明らかだ

■大雪の影響で折れたタマノホシザクラ

 さらに他の場所のものも見てみようと再び歩き出した。すると、公園に隣接する尾根緑道でタマノホシザクラの大木を見つけた。が、なんということだろう。倒れかかった木は、支柱に支えられ、幹には布状のものが巻き付けられ、緊急用のフェンスまであるではないか。そばにあった看板によれば、今年の2月10日に降った積雪の影響で倒れ、幹が大きく裂けたとのことだった。

 しかし、この木は絶滅危惧種のタマノホシザクラである。公園管理者の対応は迅速だった。10日後の2月20日までに、傷口に殺菌剤等を塗り、支柱を新設、適切な剪定を実施したらしい。

折れて痛々しい姿の大木

 折れてしまってはいたが、さすが野生種。枝先には、白い小さな花がぽつりぽつりと咲いていた。生命の力強さを感じずにはいられなかった。

 日本で東京都多摩地区にしか生えていない貴重なタマノホシザクラ。宅地開発等でその自生地が脅かされている一方で、人間の手により苗木が育てられ、保全に向けての努力が続いていると聞く。いつまでもその命が続くことを切に願って、その場所を後にしたのだった。