長浜城はJR長浜駅のすぐ西側、びわ湖のほとりにある。戦国時代、ここに城を築いたのが豊臣秀吉だ。大河ドラマ『どうする家康』ではムロツヨシが演じており、当時はまだ織田信長の家臣のひとりに過ぎなかったが、秀吉にとって初めての城となった。

 尾張(現在の愛知県)に生まれ育った秀吉は、織田の家臣として姉川の戦いに出陣し、そのまま浅井長政が立て籠もる小谷城の攻略を任された。

  浅井長政の正室は信長の妹・お市の方。大河ドラマ『どうする家康』にて北川景子が演じるお市は、戦国一の美女ともいわれ、秀吉も密かに恋していたとか。

現在の長浜城天守。館内は長浜城歴史資料館、最上階天守は戦国パノラマ展望台(撮影:かのまお

 3年をかけて小谷城を落とした秀吉は、北近江三郡を信長から拝領する。籠城し秀吉によって救い出されたお市の方と浅井三姉妹は、それぞれ秀吉と数奇な運命で繋がっていく。

 1575年、長浜城は完成。その後地震で全壊するなど廃城になり、現在の長浜城は1983年に再建されたものだ。秀吉は妻のねね、母のなかも長浜に呼び、一緒に暮らした。

 ここを拠点に各地へ出陣した若い頃の秀吉が出世の足掛かりにした長浜城。秀吉のあとは山内一豊が城主になり、ご存じの通り賢妻・千代の内助の功により出世している。『功名が辻』だ。

 天守からのびわ湖や城下町の風景は、秀吉も一豊も眺めたに違いない。

城周辺の豊公園内には秀吉時代の井戸や石垣などの遺構が残る(撮影:かのまお