■起伏のある山道、史跡「勝尾寺旧参道」で己に勝つ!

 史跡「勝尾寺旧参道」は本格的な登山道である。大阪府箕面市粟生外院(あおげいん)にある府道9号線「帝釈寺北交差点」すぐ北の「勝尾寺旧参道二十六町石」が参道の始まりだ。起伏のある約4kmの道程である。

勝尾寺旧参道にもおみくじダルマ(撮影:野口宣存)

 今回は勝尾寺山門の真正面にある参道入口からスタートし、終点まで行かずに「しらみ地蔵」と呼ばれるスポットを経由して、また勝尾寺に戻るというルートを行く。

 この旧参道、眺望はない。まさに勝尾寺の教えにふさわしい、ひたすらアップダウンを繰り返すストイックな道だ。勝尾寺が伝える「勝つ」という意味は、相手に勝つという意味ではない。勝ちダルマが示すように、七転び八起きの精神で己に打ち勝つことが、本当の意味で「勝つ」という意味なのだ。

勝尾寺旧参道終点、つまり勝尾寺側入口(撮影:野口宣存)
勝尾寺旧参道の階段は間隔が広いのが特徴(撮影:野口宣存)

 さて、勝尾寺側の旧参道入口に立つと、現れるのは長い長い階段。入口から階段の上までの標高差は約60mだから、だいたい20階建てビルの階段を一気に登るイメージだ。それを登りきると分岐があり、まっすぐ進めば旧参道、右に曲がればしらみ地蔵方面である。しらみ地蔵方面へ進むと、次は谷へ下りる急な坂道だ。

勝尾寺旧参道分岐。左へ下るとしらみ地蔵方面(撮影:野口宣存)
勝尾寺旧参道支線谷で見つけた野生化した茶の木(撮影:野口宣存)

 谷の奥には昔の茶屋の跡と思われる石垣があり、その周辺には野生化した茶の木があちこちに茂っていた。さらに進むと十字路が現れ、そこにしらみ地蔵が鎮座している。

勝尾寺旧参道支線のしらみ地蔵(撮影:野口宣存)

 しらみ地蔵の由来はわかっていないが、地蔵は境界に安置されることが多い。また、十字路の勝尾寺側角に安置されていることから、これは筆者の想像に過ぎないが、勝尾寺寺領の境界を表していたのかもしれない。

勝尾寺旧参道支線のしらみ地蔵交差点の道標(撮影:野口宣存)
勝尾寺旧参道にある国史跡八天午方軍荼利明王石蔵(撮影:野口宣存)