年が明け、新しいNHK大河ドラマ「どうする家康」が始まった。今回は「どうする家康」の主人公、徳川家康が信仰していたという兵庫県宝塚市の大本山中山寺(なかやまでら)と中山(なかやま)を紹介しよう。
兵庫県宝塚市は宝塚歌劇団以外にも、聖徳太子の伝説が数多く残ることでも知られている。なかでも有名なのが、聖徳太子が修行したとされる標高478mの中山(なかやま)と、中山のふもとにある中山寺(なかやまでら)である。中山寺は、聖徳太子が創建した日本最古の観音霊場だ。
そんな中山寺は「どうする家康」の時代にも、豊臣家や徳川家からそれは大事にされていたようである。
なお、中山と中山寺は駅近でアクセスがよい。中山寺へは阪急中山観音駅から徒歩1分、約100mの距離で、中山寺境内には中山への登山口が複数あるのだ。
■天王寺川源流の中から噴水のように噴き出す太子の冷泉
中山寺の脇を流れる天王寺川(てんのうじがわ)は、中山が源流。ここに「太子の冷泉(たいしのれいせん)」がある。
行き方は難しくない。中山寺の北西にある北中山公園から天王寺川沿いに登っていくだけだ。太子の冷泉まではゆっくり歩いても、北中山公園から30〜40分で到着できる。天王寺川の沢のあちこちに赤茶色の川床が見えてきたら、太子の冷泉はすぐそこだ。
太子の冷泉は、沢の岩から噴水のように水が噴き出している不思議な場所。赤茶色の川床も太子の冷泉付近から始まっている。冷泉と川床のにおいを嗅いで見ると、鉄分を含んだ温泉のようなにおいがした。
冷泉の成分は分かっていない。当域を管轄する近畿中国森林管理局のHPでは「においは非常に鉄くさいです。安全のために飲まないでください」と注意があるだけだ。実は宝塚には、有馬-高槻断層帯が通っている。そして、有馬-高槻断層帯には温泉が噴出している場所があり、有馬温泉や宝塚温泉などが有名だ。赤茶色も有馬温泉の金の湯に近かったし、あくまで筆者の推測だが、ひょっとすると温泉成分を含む冷泉が噴き出しているのかもしれない。