■手軽に味わえるのも魅力!

 筆者は長野県北部に住んでいるのですが、冬になると当然のように雪が降り積もり、車で1時間も走ればいくつものスキー場があります。首都圏からでも数時間移動すれば選択肢はいくつもありますよね。ヨーロッパでは国境をいくつも越えてロングドライブして滑りに行く人も少なくありません。

森の中を滑るツリーランも魅力!skier:Macha

 実はこれはかなり恵まれた環境です。インフラが整った国や地域、一般的に移動する交通手段がある中では、(街から遠くない低標高の場所で)これほど降雪に恵まれているのは貴重です。四方を海に囲まれた島国日本、適度な緯度であることなど。諸条件が揃ったからこそ、雪の恩恵を存分に楽しむことができます。

スキー場のトップからは、北アルプス北部・後立山連峰の雄大な眺め。白馬八方尾根スキー場

 ちなみにヨーロッパ中央部、いわゆる“アルプス”でスキー場があるのは、氷河があるような標高が高いエリアがメインです。それに比べると、日本のスキー場は低標高で森林限界を超えていないところが多く、広葉樹のツリーラン(森や林の中を滑ること)を楽しめるのも人気のひとつです。北欧でも同様のところがあるのですが、低緯度なので標高が低くても荒涼としていたり、針葉樹の森だったり、都市からの移動がかなり遠かったり……。物価も高いですね。北米には比較的似た環境もあります。ただ日本ほどコンスタントに雪が降り続け、フレッシュな雪を滑るチャンスが多いところは少ないかもしれません。

■2023シーズン! この後はどうなる?

 入国制限などのコロナ禍の規制も緩和され、再び国外移動が以前のように容易になりつつあります。各スキー場や周辺の施設で話を聞くと、すでにコロナ禍以前の8割程度の外国人の入り込みがあるとの返答が多いです。

 日本にいると実感しにくいのですが、“雪”はそれ自体が観光資源として大きな価値を持っています。我々は世界が羨むほど恵まれた環境で暮らしているのです。

野沢温泉スキー場の麓、大湯通りでアプレスキーのひとときを楽しむゲストたち

 アジアの中でもユニークな文化を持つ日本。“ニンジャ”や“サムライ”はいませんが、海外から見るとエキゾチックな魅力に溢れています。穏やかで親切な国民性もうけているようです。そもそも物価(とくにリフト券や食事など)が安いうえに、このところの円安が旅行先としての人気に拍車をかけていくでしょう。せっかくなので我々も、“おもてなし”の精神を忘れずにしつつ、存分にスノースポーツを楽しんでみてはいかがでしょうか?