「しもばしら」と聞けば、大抵の方は「霜柱」を思い浮かべるに違いない。しかし、「シモバシラ」という植物も存在する。冬になると、「シモバシラ」から「霜柱」のような氷の花が咲くのだからややこしい。しかし、これを待ち望むファンは大勢いて、朝早くから大勢の人がやってくる。「シモバシラ」スポットして有名な高尾山に乗り込んでみた。

■氷華ができるしくみ

シモバシラは、関東以西から九州にかけて分布する日本固有のシソ科の植物である(撮影:うにまる)

 夏の終わりから秋にかけて白い花を咲かせたシモバシラは、冬になると枯れてしまう。正確にいえば、地上に伸びている茎が枯れる。しかし、根は枯れることなく地中の水分を吸い上げることができる。吸い上げられた水分は地上の枯れた茎の中を運ばれていくが、茎からしみ出た水が冷えた外気の影響で凍ると、「氷華(ひょうか)」ともいわれる天女の羽衣のような造形物ができあがるのだ。

■シモバシラの有名スポット 高尾山へ

 シモバシラは、山地に生える植物。東京近郊では、高尾山が有名だ。初冬の冷え込んだ朝、高尾山に行ってみた。

 山に登る前に立ち寄りたいのが、高尾山の自然について解説している「高尾599ミュージアム」だ。といっても、まだ開館前。見ておきたいのは、館内ではなくエントランス部。そこに、植栽されたシモバシラがあるのだ。

ミュージアム前の広場脇にシモバシラはある

 小さな案内板に沿って進むと、かわいらしい氷華がちゃんとできている。よかった。ふもとでこれだけしっかりしたものがあるのなら、山の上の方にはさぞかしたくさんあるだろうと、期待がふくらむ。というのも、少し前に現地を訪れた時は冷え込みが弱く、ミュージアム前でも山の上でも見ることができず、敗退していたのだ。

 「今日は、見られそうだ」とちょっと安心しながらケーブルカー乗り場に向かう。ふもとから歩いて登っても良いのだが、氷華は午前中の早い時間帯が勝負。氷がとけてしまう前に現地に到着しなければならないので朝一番のケーブルカーに乗る。決して楽をしたいのではない、ということにしておこう。

清滝駅の始発は8時。混んでいる時には10分くらい前に臨時便が出る場合があるので、早めに並んでおくとよい