宿泊が伴う山行や遠距離の移動はなかなかできない……。だから都市部から近く、そしてできるだけ有名な山に登りたい。ここではそんな欲求をかなえる日帰り可能な百名山の中から、比較的登りやすい山々を紹介しよう。

 ロープウェイやシャトルバスを使って標高を上げられて、整備された登山道で鎖場や岩場などが少なく、行程時間も5~6時間未満。それでいながら眺望抜群かつ、新緑や紅葉など四季の景色も美しい山をピックアップ。標高2,000~3,000mの山まで、それぞれ個性あふれる山を今年は歩こう。

●日本百名山とは?

 随筆家で登山家の深田久弥が、実際に登った山から選んだもの。それらは山岳紀行『日本百名山』に掲載されている。高い山だけが選ばれているわけではなく、山の歴史や個性、品格などを見て選定されている。100座制覇を目指す“百名山ハンター”と呼ばれる登山者もいるほど。

■蓼科山(たてしなやま)標高:2,531m【長野県】

歩行時間:3時間40分 
技術レベル:★★☆☆☆ □体力レベル:★★☆☆☆

 八ヶ岳の最北端に位置する蓼科山。こんもりとした山容で、見る方向によっては富士山のような美しい姿をしていることから諏訪富士とも呼ばれる。

諏訪富士とも称される単独峰のような見た目

 北八ヶ岳エリアでは最高峰の2,531mを誇り、頂上からは富士山、南アルプス、南八ヶ岳を一望する大パノラマが広がる。それでいながら、4本の主要ルートのうち、2本はいずれも往復2時間半という短い登高時間で、これも好まれる理由。最も人気なのは白樺高原国際スキー場上部の七合目登山口からの往復ルートとなる。

 蓼科牧場を過ぎ、町道を上がると鳥居がある登山口。ここからは長い裾野をゆるい傾斜に沿って登っていく。頂上部近くまでは樹林帯が続き、苔むす森のなかを歩く北八ツらしい登山。1時間強ほど進むと上りが急になり、足場も悪くなる。ガレ場を進むと将軍平、ここからさらに大きな石が重なり合う急斜面に。ここを越えると山頂ヒュッテが現れ、展望が一気に開ける頂上部に出る。

 山頂部は平たく広がり、どこが頂点か分からない大きな石が転がる特殊な風景。山頂中心には蓼科神社奥宮の祠が祭られている。頂上付近は森林限界なので、晴天時の直射日光には注意したい。

平たい頂上部ではあちこちで休む人の姿も