8月も残すところわずか。厳しい残暑や蒸し暑い日が続いている地域も多いだろう。一方で、お盆を過ぎると平地でも朝晩涼しくなってくる信州。標高の高い山々では、すでに秋の気配が漂っている。
後立山連峰、北アルプス北部の白馬岳周辺では、ここ数日の最低気温は3℃。涼しいを通り越して寒いときも増えてきている。
2022年8月下旬の早朝、雨で濡れた草や水場付近が凍っていた。足元にはガラス細工のような美しい光景が広がっている。
写真は「長野県遭難防止常駐隊(※)」の宮嶋岳生氏が撮影したもの。山が好きだからこそ選ぶ仕事、厳しい現場に身を置いているからこそ移りゆく自然の表情にも敏感だ。
※ 長野県では夏山登山の期間、北アルプスをパトロールしながら登山者にアドバイスや指導を行うとともに、山岳遭難発生時には救助活動を行う「長野県遭難防止常駐隊(通称:常駐隊)」を設置している。
依然として天気に恵まれると日中は暑く、熱中症対策には気を配る必要がある。しかし、それと同時に稜線上では“冷え”に対する心構えと準備を怠らないようにする必要がある。
雨や汗で濡れた身体が風で冷やされると、一気に体温が削がれ低体温症のリスクが上がる。通常の秋山以上の防寒具が必要だ。天候の変化に敏感に。入念に最新の情報をチェックし続けること。さらに高山の稜線などでは、万が一のビバークに備えるなら初冬のコンディションに対応できる準備をしておくべきだろう。
非日常の世界を楽しむ登山。そこは気象も同様、非日常だということを念頭に置いておきたい。下界の常識は通用しない部分もある。登山計画はしっかりと練って登山計画書(登山届・入山届)の提出を忘れずに。より安全で快適な登山を!