■尾根に出たら低木の花々が待っている

 標高800mほどの銀山平登山口から、標高1235mの明神峠まで、深い森の中をゆっくり登ること1時間半。明神が祀られた祠を過ぎると、ここからは山頂までは見晴らしの良い尾根道が多くなる。次の目標は標高1298mの道行山。所要時間は約1時間だ。

 体力に自信がない人は、道行山をゴールにしても良いと思う。尾根沿いの樹木は風雪に晒されて高く育つことができず、低い位置で花や実をつけるので観察がおもしろい。この時期なら、良い匂いのするタムシバ、7回かまどにくべても燃えないことから名付けられたナナカマド、葉っぱが亀の甲羅のようなオオカメノキ、枝が高級爪楊枝に使われるクロモジなどの花などが見られる。珍しいところでは豪雪に耐える常緑樹、ヤマグルマが線香花火のような花を咲かせているところに出会えるかもしれない。

右上から時計回りにタムシバ、ナナカマド、オオカメノキ、クロモジ
ヤマグルマの花。かつてこの木からトリモチを取った

■残雪地は春真っ盛り

 道行山を過ぎ、50分ほどで次は標高1377mの小倉山に着く。このあたりから残雪が所々に見えてきて、冷気が漂い、早春を思わせる花々が見られる。特に雪の重みで低木が抑えられた場所は日当たりがよく、山野草にとって良いポイントだ。カタクリとイワウチワが混生したお花畑があったり、ショウジョウバカマ、シラネアオイ、多様なスミレの仲間も咲いている。

残雪で明るくなった斜面は春の野草観察ポイント
右上から時計回りにカタクリ、イワウチワ、シラネアオイ、ショウジョウバカマ