梅雨のキャンプをいかに楽しむか

 梅雨時のキャンプは、雨といかに付き合うかが課題であります。

 レインウェアを着込んでアクティブに過ごすのもいいし、タープの下で読書やゲームにふけるのも一興。あるいは、早い時間からのんびり酒を飲んでしまうのもアリだと思う。雨だれを眺めながら、友人とよもやま話で過ごすひとときは、僕にとって至福の時間なのだ(とはいえ節度のある“大人の飲み方”が大事!)。

 夕食前の時間なら、おつまみは軽いものがいい。となるとスペインの小皿料理「タパス」なんてどうだろう?  スペインの居酒屋に行くと、様々なタパスが並んでいるが、実は缶詰を使った料理がけっこう多いのだ。

 そこで今回は、タパスに使える絶品の肉缶&魚介缶を3品紹介したい。

■生産者の愛情が詰まった黒豚缶詰

愛らしいパッケージに気分もあがる「黒豚の白ワイン煮込み」

 まずは肉の缶詰からご紹介。鹿児島県のAKR Food Company(エーケーアールフードカンパニー)が手掛ける「黒豚の白ワイン煮込み」が、温かいタパスに最適なのであります。

 同社の母体は黒豚の生産・加工会社で、この缶詰の原料にも同じ黒豚が使われている。鹿児島の黒豚といえば高級ブランド豚として有名だけど、部位によってはとれる量が少ないため、市場に出回る機会が少ない。そういう希少部位を集めて造ったのが「黒豚缶詰」シリーズで、黒豚の白ワイン煮込みもその1品。大事に育てた黒豚を「余すことなく食べて欲しい」という願いが込められているのだ。

■肉缶の問題とは?

黒豚の白ワイン煮込みの内観。低温下で脂肪が固まっている

 肉缶にはひとつの問題がある。低温下だと脂肪が固まってしまい、見た目がかなり不味そうに見えることだ。この日も最高気温が15℃だったので、フタを開けると案の定、脂肪が白く固まっていた。

 低温下では味もイマイチだ。ワインで例えれば、冷たすぎて本来の香りと味が開いていない状態だ。だから肉缶は温めて食べるのが原則であります。

スキレットで温めてブルーチーズ、ハチミツなどをトッピング

 そこで、缶詰の中身をスキレットに移して、脂が溶けるまで温めてやる。肉のいい匂いがしてきたら火を止めて、ブルーチーズとレモンをトッピング。はちみつをかければ缶成であります。

 この素敵なメニューは、実は缶詰のパッケージに載っていたものだ(他にも5品のレシピが写真付きで載っている)。AKR Food Companyの社長が考案したもので、文章だけでなく缶成写真まで載せているのがすごい。

 肉はハラミ、サガリ、赤肉の3つの部位が入っていて、それぞれ食感や味が違う。豚特有の臭みもなく、温まったことでハラミとサガリは食感がぷるぷる、赤肉はほろりと繊維状に崩れる。塩味は控えめだから、ブルーチーズの塩気がちょうど良かった。