■2. 視認性を大きく左右するレンズテクノロジー

●素材と2枚レンズの効能

 現行ゴーグルの多くは、それぞれ特性の異なる2枚のレンズを貼り合わせたダブルレンズ設計が主流となっています。2枚のレンズを貼り合わせる理由は、外気と内気の温度差を軽減し曇らせないため。外レンズの素材はミラーコーティングがしやすいため熱可塑性に優れるポリカーボネイトを使用し、内レンズは曇り止め加工が容易なレキサンビュートレートと呼ばれる素材を採用しているブランドが多くなっています。

2枚を貼り合わせたダブルレンズ設計が主流

●レンズカラーの役割

 カラーコーティングの違いは、天候によって使い分けることで見やすさの向上に繋がります。また、斜面の凹凸やコントラストを高める効果もあるので、注視して選びたいポイントの1つ。一般的にオレンジ系カラーは晴天、曇天でも見やすく、イエロー系は降雪時や曇りの日に最適で、ブルー系は晴天時から曇天時に良く、雪面の凹凸もはっきり認識しやすい。ピンク系は曇りの日に使うと見やすく、グレーは自然の色味がそのままに見えるので晴れた日などにベストなど、それぞれに特徴があります。

見た目だけではなく、色によって見え方の特徴に違いがある

●可視光線透過率

 雪山は標高が高く、さらに太陽からの光が雪に反射するため、日常生活よりも日射量が多くなるものです。目に届く光の量をレンズで調整する際に、目安となるのが「可視光線透過率」で、レンズにカラーコーティングやミラーコーティングを施すことでその塩梅が変わり、裸眼が100%として、全く光を通さない状態が0%になります。晴れの日は照り返しも強いので10〜20%、雪の日は20〜40%、ナイターの時は60%程度のものが使いやすいでしょう。

「可視光線透過率」は天候や時間帯などで使い分けるのがオススメ

●ハイコントラストレンズとは

 近年、各社が開発に力を注いでいるのが、「ハイコントラストレンズ」です。レンズを通して入る特定の色光線を強調したり、減少させたりすることが出来ます。または影を強めるなどして、雪面の凹凸を見やすくする技術です。メーカーによって、その調整具合に特色を出すのが最近の潮流。肉眼で見るよりも雪面をはっきり捉えられるため、瞬時に判断が求められるフリースキーにおいては、あると便利な機能となります。

特にフリースキーにおいてあると便利なハイコントラストレンズ

協力=株式会社ロータスインターナショナル(GIRO)、イラスト=鎌倉スキーヤー(P114,116)

 

【BRAVOSKI 2022 Winter Vol.1 より再編集】