スキーに必要な板、ブーツ、ビンディング、ウエアなどの様々な専用ギアについて、今さら聞けない基本の「キ」を連載でお届けしていきます。第3回は「ビンディング」について。素材や構造の基本を理解したら、体の動きも変わり技術が向上するかも知れないですね。

■1. 大きく5つのタイプに分類できる

 数あるスキーギアのなかで、最も革新的な進化を遂げてきたのがビンディングと言っても過言ではありません。それはより確実な滑走性能と安全性を求めた歴史を反映しています。現在はバックカントリーのニーズが増加していることで、より軽く、より快適なハイク性能への欲求が高まっていることにも表れています。

 実際のところ、ブーツを選ばないフレームツアービンディングが登場した時点ですでに革命的でしたが、その後、軽量なテックビンディングに注目が集まり、さらに「マーカー/キングピン」に代表されるアルペンモデルとのハイブリッドテックビンディングが誕生します。ついには可変式トウピースを備えた「サロモン/シフト」や「マーカー/デュークPT」が発売されるなど、進化が止まりません。

 それぞれのカテゴリーで各社からさまざまなモデルがリリースされ、その選択肢に悩まされますが、そこをあえて5つのタイプに分類してみました。なお、ビンディングが正しく安全に機能するためにはブーツとの互換性が必須なため、取り付けや調整を含めて専門店での購入が間違いないでしょう。

TEC BINDING:非常に軽量でハイクアップに有利だが、滑走ホールド感とセイフティリリース機能はアルペンタイプに数歩譲る
HYBRID TEC BINDING:アルペンタイプ同様のヒールピースを備え、滑走を支える大事なヒールホールド感と、ハイクに有利な軽量性を併せ持つ
FLAME TOUR BINDING:すべてのスキーブーツに適合するのが最大の利点。ただし登高モードでは重たいヒールピースごとカカトを上げて歩くのが難点
DUKE PT/SHIFT:滑走はアルペンタイプと同じ信頼の機構。登高時はトウピース内のピンテックを使ってテックビンディングのように軽々と
ALPEN BINDING:歴史が培ってきた信頼と安全の機構。スキー本来のフレックスを生かせるセパレートタイプという点もメリット大

■2. 解放の仕組み

 あまり知られていないことかも知れませんが、滑走中ブーツは固定されているように見えて、実はターンや雪面からの衝撃を受ける度に、ヒールピースとトウピースの間でハミ出たり戻ったりを小刻みに繰り返しているのです。それを常に正しい位置に戻そうとする力こそ、内蔵されたスプリングの働きです。そして設定したバネの力では元に戻せない力が加わったとき、ビンディングはブーツをリリース(解放)します。これがセーフティビンディングの基本的な仕組みとなります。

 その際、トウピースは左右方向、ヒールピースは上方向にブーツを解放します。ブランドやモデルによって様々な解放機構がありますが、実はどれもヨコとタテの組み合わせが解放の基本で、最もリスキーといわれる後方へのねじれ転倒に対しても、このタテヨコの複合的な解放で対応しています。

トウピースはヨコ方向に、ヒールピースは上にブーツをリリースする。これが解放機能の基本