スキーに必要な板、ブーツ、ビンディング、ウエアなどの様々な専用ギアについて、今さら聞けない基本の「キ」を連載でお届けしていきます。第2回は「スキーブーツ」について。素材や構造の基本を理解したら、体の動きも変わってくるかも知れないですね。
■1. シェル構造の違い
スキーブーツには、2つのパーツから出来ている「2ピースシェル」と3つのパーツから成る「3ピースシェル」があります。「2ピースシェル」はダイレクトなパワー伝達性を重視した構造で、狙ったラインをトレースするターンコントロールとスピード重視の滑りに最適な作りになっています。
一方、「3ピースシェル」は独立したタングパーツによってフレックスの設定が容易で、足首の動きを重視するスキーヤーから根強い人気があります。
また、構造上カフの可動域も大きく取ることができるために、ツアー専用ブーツのほとんどが3ピース構造を採用しています。ロワーシェルとカフをつなぐヒンジ位置が2ピースシェルよりもくるぶしに近く、これも足首の動きを損なわない要因になっています。
■2. シェルの素材
多くのブーツに使われているシェルの素材は、粘りと柔軟性のあるポリウレタン樹脂です。軽量ツアーブーツのシェルに多いのがペバックスやグリアミドとして知られるポリアミド樹脂。こちらは軽量で低温下でも変化が少ない素材となっています。
■3. ラスト幅の違いとは
「ラスト(Last)」とは靴型のこと。ラスト幅が狭いほどホールド性が強く、広いほど快適性が高くなります。レースブーツで90mm台、フリーライドブーツが100mm台が一般的なサイズ。バックカントリーなど保温性を重視するなら広めがおすすめです。
■4. バックルとシェル構造の関係
バックルの数や位置の考え方も、2ピースシェルと3ピースシェルでは大きく異なります。つま先までキッチリとホールドしたい2ピースブーツは足先からくるぶしまで締める4バックルが多く、一方3ピースブーツはカカトのホールドを重視し、つま先には余裕を持たせる配置となっていることが多いです。このような配置にすることで、ジャンプの着地で指先を痛めたり、低温下でつま先が冷たくなることを防いでくれます。