スキーに必要な板、ブーツ、ビンディング、ウエアなどの様々な専用ギアについて、今さら聞けない基本の「キ」を連載でお届けしていきます。第1回は「スキー板」について。素材や構造の基本を理解したら、体の動きも変わってくるかも知れないですね。

■1. スキーの形状

板のセンターラインとカーブの位置に注目

 スキーのアウトラインは、ターンに特化した「ディレクショナル」と、ジャンプやトリック、スイッチを想定した「フリースタイル」の大きく2つのタイプに分かれます。

 イラストの上の板は「フリースタイル」。スキー全長の中心寄りにセンター位置があり、サイドカーブは前後で均等に近いアール(弧)を描いています。

 一方でイラストの下の板は「ディレクショナル」。センター位置は中心よりもややテールよりにセットされ、サイドカーブもそれに合わせたアールを描いています。

■2. ウエスト幅でスキーを選ぶ

 スキーの性格を見分ける最初のポイントは板の中心辺りのくびれている部分=ウエストの幅にあります。太いほど浮力があり、細いほどエッジの切り替えが速くなるため、ウエスト幅が太くなるほどパウダー向きで、細いほどターン性能に優れるというのがまずは基本になります。あとは浮力とターン性能をどこでバランスさせるかがポイント。また、それぞれのデメリットを補うために、各社ともアウトラインや構造に創意工夫を加えています。

楽しみ方やシーンに合わせて様々な太さの板が存在する

 上の板の写真、左から順に a , b , c , d ,e の5モデルとなります。

a.120mm〜
極太なアウトラインを持つパウダーモデル。圧雪バーンを滑ることもできるが、深雪用の2台目という位置付けが現実的

b.110〜120mm
プライオリティはパウダーを楽しむことにあるが、ハードバーンでのエッジコントロールも犠牲にしたくないという選択

c.100〜110mm
硬めのバーンで十分にカービングを楽しめ、パウダーでは必要な浮力を発揮するという最もオールラウンドなウエスト幅

d.90〜100mm
パークモデルに多いウエスト幅。硬いバーンでもエッジングしやすく、細すぎないアウトラインは着地やグラトリに有利

e.〜90mm
パワーをエッジに伝えやすくパックバーンでのカービングに最高。また細めのボリューム感は軽量ツアーモデルにも最適

■3. キャンバーとロッカーの種類

 ボトムデザインの違いは、スキーの操作性や乗り味に大きな影響を与えます。キャンバーはターンの切り替えを俊敏に、ノーズロッカーは浮力とイージーなターン導入を促し、テールロッカーはテールをスライドさせやすいというのが、それぞれのメリット。これらの組み合わせは何通りか存在しています。

全長の割に有効エッジが短いことでライディングの自由度が高く、テールロッカーの働きでスライドやグライドが思いのまま。太めのフリースタイルモデルに多い
ロッカーのないクラシックなボトムデザイン。長いコンタクトエッジとキャンバーでターンに俊敏さと安定性を生むが、パウダーではそれなりの技術が必要になる
ボトム全体が滑らかな弧を描くフルロッカー。足下がフラットに近いためにスライド操作が容易。バンクや自然地形、深雪で快感度の高い自由なライディングが可能
ほとんどのディレクショナルモデルが採用するボトムデザイン。ノーズロッカーがパウダーでの浮力を促し、ストレート気味のテールはターン後半に安定感を生む