スキーに必要な板、ブーツ、ビンディング、ウエアなどの様々な専用ギアについて、今さら聞けない基本の「キ」を連載でお届けしていきます。第4回は「スキーポール」について。構造の基本を理解したら、ポールの使い方や体の動きも変わってくるかも知れないですね。
■1. モデルによって使い勝手がさまざま
身体を支えたり、推進力をつけたりなど、スキーギアのなかで大きな注目を浴びることは少ないですが、必要不可欠な影の功労者のポール。一口に言っても種類は色々あり、例えばフリーライド用と基礎用では大きく違います。どこが違うのでしょうか?
まず、伸縮式か固定式か、モデルによってスウィングウェイトもバラバラです。バックカントリーに行くのであれば当然軽いほうが良いのですが、軽ければ文句なしというものでもありません。伸縮にしてもロック一つで使用感が異なるので知っているようで意外と知らないポールについて、詳しく見ていきましょう。
●グリップ:形と素材で握りやすさが変わる
グリップは握り心地に直接影響します。基本的には人間工学に基づいた立体的なグリップが多く、用いられる素材は主にTPU(=熱可塑性ポリウレタン)となっています。加工が容易で耐久性が高く、かつ軽量。メーカーによって高機能製品になれば、ゴムやエラストマーと呼ばれる滑りにくい素材を一部に用いて、グリップ力を高める工夫もされています。パーク用のストックの場合、ミトングローブを使うことも想定して、指の形に沿わせていないものもあります。
●伸縮式か固定式か:固定方法に注目
ストックが伸縮式か固定式かで大きな違いがあります。ツアーなどの環境に合わせて伸び縮みさせる必要がある場合は伸縮式が良いでしょう。ロック方法は二種類あり、レバーロック式はワンタッチで素早く長さが調節できるので便利。スクリューロック式は維持能力が高くなります。レバーロック式の方が頻繁に長さを変える時は便利ですが、レバーが横にせり出している分、若干スウィングウェイトに影響がでるという懸案もあります。
●シャフト:軽さと強度が重要
シャフトは適度な重さと耐久性が求められます。素材は基本的に「アルミニウム」と「カーボン」。しかし、カーボンにも他の強化材との配合比率などによって様々なものが存在しています。特徴としては、アルミが重くて衝撃にも強く、カーボンは軽さが最大の特徴ですが衝撃に弱いなどの短所もあります。プロダクトによっては、シャフトの上部にアルミを、下部にはカーボンを用いるものもあり、シチュエーションに合わせたスウィングウェイトを導き出してくれます。
●バスケット:パウダー用かゲレンデ用か
ゲレンデ用のバスケットは、細いため抵抗を受けづらくスムーズな振りが可能です。バックカントリーでは、パウダー用バスケットがないと雪を捉えられずに歩きづらくなります。パウダー用でも使用される素材によって柔らかい・硬いなどがあり、振り心地や、突いた時の使用感も違うので注視したいポイントです。