■大ブームの渓流フィッシング

 アウトドアの中でもハードなアクティビティとされている渓流フィッシング。こちらは字の如く川の渓流域で行う釣りのことで、釣法としてはルアー、フライ、テンカラ、餌釣りなどが存在する。

 ターゲットは、川の上流部に棲むイワナ やヤマメ、アマゴ、ニジマスといった魚たち。山深い上流部に棲んでいるため、直で見る機会も少なく、なかには幻の魚とも言われものもいる。水族館や山沿いの食堂でしか本物を見たことがない人も多いのではないだろうか。

山深い渓流で釣れたアマゴ

 そんな渓流魚の一番の魅力は、その美しい魚体。流れの強い川を住処としているため、それに耐え得る筋肉質で流線型の体は見るからに泳ぎが速そうに見える。また、一匹一匹異なるパーマークと言われる柄を持っているのが特徴で、魚釣りをする者だけでなく、しない者をも釘付けにする魅力を持っている。

 こうした渓魚に魅せられた者が楽しむ渓流フィッシングは、近年のアウトドアブームに伴い、より一層の盛り上がりを見せている。しかし、渓魚は山深い場所を生息地としているため、ときに狙うためには危険を侵して、川の奥地を目指さなければならない。藪漕ぎをして道なき道を進んだり、胸ほどの深さの川を遡上することもある。さらに、深い川を避けるために崖をよじ登ることもあるなど、実は相当危険と隣り合わせで、過酷なアクティビティと言える。それでもハマる人たちが後を絶えないのは、ここまでしないといい魚たちに出会えないというところもこの釣りの魅力なのかもしれない。

日本各地に存在する美しい渓流風景

■渓流用ランディングネット

 渓流フィッシングを行うには、ロッド(竿)、リールの他、川の中で浸かるためのウェーダーと呼ばれる腰や胸元まである胴長靴、石に付着する苔で滑らないようフェルト生地を底に施したウェーディングシューズ、他にベストやルアー、毛針、餌などの専用道具が必要となるが、中でも異色を放っている道具がランディングネットだ。

 ランディングネットは魚を入れるための網のことを指すが、こと渓流で使う網は一種独特の雰囲気を醸し出しているギアと言える。材料には銘木を使うことが圧倒的に多く、中には鹿の角をあしらったものも存在するなど、他では見かけないほど美しさを纏ったギアとなっている。

釣りに興味がない人をも見惚れる美しいネット

 その理由として、渓流フィッシングが大自然の中で行う釣りであること。そして、渓流域で釣れる魚たちをより一層美しく見せるのに、自然由来のもの(木や鹿の角)との親和性が高いことが挙げられる。実際、ランディングネットに入った渓魚は美しい。そして、ネットのカラーによっては、より一層魚を際立たせてくれるところもこのギアの魅力となっている。

朱点が入った美しいイワナとピンク色が鮮やかな1枚