■mouwoodの魅力

 製作から12年ほど経ったmouwoodのランディングネットについて、長浜氏自身はまだまだ未熟で一生修行が必要だと言っているが、一方で、ちょっとずつ自分の理想に近づいている気がしていると言う。

 「ランディングネットに答えはありません。そのため、何が正解かは分からないですが、魚とネットの両方が同時に映え、魚と同じくらい人を魅了するネットを作りたいと常々考えていました。そのために、数え切れないほどのサンプルを作り、魚を釣ってはネットに入れて写真を撮り、そのバランスについて研究を重ねましたね。自分の感性が正しいとは限らないので、客観的な意見も知りたくて、人間の目が美しく感じる配分などについて書かれている文献などもこっそり読んでいました(笑)」

 こうした経験を積み重ねた結果、女性の体のように美しい曲線を持ち、左右のバランスが絶妙な黄金比を持ったランディングネットを完成させた。

未完成品ながら、既にその曲線美に色気を感じる

 この美しい形状が渓流フィッシングフリークの目に留まり、流線型のカタチを持つ渓魚を入れるとあまりに美しく映えてくれるランディングネットとして噂となり、ブレークすることに。実際、魚を綺麗に魅せることに命をかけている渓流フィッシングのエキスパートや渓流Youtuberに多くの愛好家がいるのも頷ける。

時にネットに入り切れない大型が釣れるのも渓流の魅力だ

 また、長浜氏自らが厳選したランディングネットは使用する銘木も種類が豊富で、それぞれが個性に溢れており、艶かしく、見惚れてしまうと話題になっている。紅白が混ざったものや、瘤と言われる柄が入った銘木は、木材に関心がない人でも惹きつけられる魅力がある。これらは、同じ柄のものがひとつとしてなく全てが違う紋様なので、手に入れたランディングネットはオリジナリティに溢れている。愛着が沸くこと請け合いだ。

 さらに、背後から魚を美しく彩ってくれる網の色も魅力の一つ。例えば、アマゴ狙いの場合は赤やオレンジ、川をイメージした場合は緑色、魚を食ってしまうほど派手なピンク色など、ベースとして8色が用意されており、そのどれもが揃えてしまいたいくらいに綺麗な色だと評判に。実際、眺めているだけでも満足する鮮やかな色合いは、見ているだけでも飽きない。

川に見立てた緑色のネットに入ったアマゴ

 魚を綺麗に魅せる…… たったこれだけの用途にもかかわらず、完璧を求めて作られたmouwoodのランディングネット。本気で渓流フィッシングにチャレンジしたいと思う人がいたら、ぜひ手に取って、使ってもらいたい。感動を心に焼き付けてくれる相棒になってくれるはずだ。

 

mouwood代表 長浜裕之氏

https://www.instagram.com/mouwood/