天高く馬肥ゆる秋……。11月になると、ようやく台風や秋雨前線の影響を受けることも少なくなり、さわやかな秋晴れの季節を迎える。
空気が乾いて爽やかになる秋は、アウトドアが楽しい季節のひとつ。今回は、澄んだ秋の空のヒミツや、美しい秋の雲、秋晴れが続く天気パターンについて紹介しよう。
■秋の空が高く見えるのはなぜ?
「秋の空は高い」と言われるが、爽やかに晴れた秋晴れの空が高く見える理由をご存じだろうか?
まず一つ目の理由として、空気中の水蒸気が少ないこと、つまり乾燥しているということが挙げられる。晴れをもたらすのは高気圧だが、夏と秋では高気圧の性質が異なっていて、夏の高気圧は太平洋育ちの湿った空気であるのに対し、秋の高気圧は大陸育ちで乾いた空気となる。空気中に水蒸気が少ないと、太陽光は、酸素や窒素などの空気分子で散乱し、短い波長の青い光がより強く届くようになる。
いっぽう、春や夏は空気中の水蒸気が多いので、空気分子よりも大きい水滴やチリで太陽光が散乱するため白っぽく見える。
■他の季節と見え方が違うもうひとつの理由
なお、春の高気圧も大陸育ちだが、春は土や砂が舞い上がりやすく、黄砂などの影響もあって空の透明度が低く霞んだ空になる。秋の空が澄んでいるのは、夏の間に生い茂った草や木の葉などの影響で、土が舞い上がりにくくなっているからと言われている。
また、秋の空が高く見えるもう一つの理由として、雲ができる高さがある。秋に特徴的な「うろこ雲」(巻積雲)や、刷毛でサッと書いたような「すじ雲」(巻雲)は、雲のなかでも最も空の高い場所に現れる。雲の下の空間が広くなることも、秋の空が高く感じられる一つの理由だろう。