今年は記録的な早さで梅雨入りが進んでいる。一年のなかでも気持ちのいい初夏の季節が早くも終わってしまうのかと思うと、アウトドア好きとしては悲しい気もする。しかし梅雨といってもずっと雨が続く訳ではなく、中休みや晴れ間がある。そんなタイミングこそお出かけのチャンス! 天気予報を活用して、今年の梅雨はストレスをためずに上手に過ごそう。

■今年の梅雨はどうなる?

梅雨の晴れ間を活用して出かけよう

 本州では、5月11日の九州南部を皮切りに、16日には近畿地方と東海地方までが次々に梅雨入りした。関東地方も雨の日が続いているが、来週に晴れ間も予想されているため、この雨は「走り梅雨」の可能性もある。もし関東で5月中に梅雨入りすれば、2011年(5月27日頃)以来10年ぶりとなるそうだ。

 例年よりも異常に早い梅雨入りの原因には、偏西風と太平洋高気圧が関係していると言われている。今年は、インド洋付近の海面水温が高く、偏西風が日本付近で北側に蛇行したことにより、太平洋高気圧が西へ張り出して、梅雨前線が押し上げられたという。

 さて、今年はどんな梅雨になるのだろう。5月20日に発表された1ヶ月予報(5/22~6/21)によると、向こう1ヶ月は、北日本~西日本にかけて全般に曇りや雨の日が多くなりそうだ。気温は、平年よりも高い確率が、北日本で60%、東日本と西日本で40%、沖縄・奄美で70%となっている。つまり、蒸し暑い日が多くなるだろうと考えられる。北日本や東日本は、天気は数日の周期で変化するとも予想されているので、ずっと曇りや雨という訳でなく、晴れ間が出る日もあるだろう。

 梅雨明けについてはまだ予想されていない。ただ、梅雨入りが早かったからといって梅雨明けも例年より早まるとは言えないようだ。5月でも前線の活動が活発になり大雨の恐れもあると予想されているので注意したい。

 梅雨の期間は、湿気や気圧の変化で体調も崩しがち。体調管理には普段以上に気を遣おう。何よりも梅雨の晴れ間を活用してアウトドアを楽しみ、ストレスをためずに過ごしてほしい。

■シトシト雨を降らせる「乱層雲」

低くどんよりとたちこめる乱層雲

 梅雨の雲といえば、どんよりした雨雲だ。雨を降らせる雲は2種類あり、雷雨などの激しい現象を起こす「積乱雲」と、シトシトとした雨や雪を降らせる「乱層雲」だ。

 「乱層雲」は雲の厚みがあるため、太陽光が透けず灰色をしていて、空は全体に暗くなる。天気が下り坂のときは、巻層雲から高層雲、乱層雲と次第に雲の厚みが増してくるので注意しよう。

 さて、乱層雲はどのくらいの高さにあるだろうか。山に登る人なら、雨雲の高さを山の標高と比べてみると分かると思うが、一般的には雲底高度が2000mくらいだ。

 乱層雲のある高さを考えると、雨というのは意外と低い場所で降っているのだなぁと思う。下界は雨なのに、ロープウェーで山の稜線に上がったら晴れていた、なんてこともよくあることだ。もちろん、雲の厚みによってはアルプスの稜線まで雨となるような分厚い雲に覆われることもある。

 基本的には、雨の日の登山は、視界不良や低体温症などリスクが高いため避けたほうがよいだろう。だが、荒れた天気にならないと予想される場合、標高の高い山に行ってみると、眼下に雲海を眺めながらの山歩きが楽しめることもある。最近はロープウェーの山頂駅や山小屋などさまざまな場所にライブカメラが設置され、その画像をインターネット上で確認できるので、ひとつの参考にしてもいいだろう。