車中泊の楽しみの一つ「車中飯」は、本格的な調理を試みるとさまざまな制約に悩まされる。

 材料を煮たり炒めたりするにはガスコンロなどの設備が必要になるし、狭い車内の換気にも気を配らなければならず、何かと面倒事が多い。初心者の場合、そういった手間を避けてコンビニなどで弁当を探すことも少なくないが、ダイエット中などタイミングによっては食べられるものが手に入らないこともあるだろう。

 そこで、自宅にある食べ物をそのまま車に持ち込んで、現地で食べれば食料の不安はなくなる。なかでも、お湯を注ぐだけで食べられるオートミールは、持ち運びもできて調理も楽、味のバリエーションも豊富である。

 この記事では、車中泊初心者向けに、お茶漬けの素などの簡便食品と組み合わせてすぐ食べられるオートミールのレシピを3つ紹介する。

■車中泊にオートミール?

 オートミールとは、燕麦(えんばく)を原料とするシリアルの一種で、スコットランドやアメリカでは朝食に欠かせない食べ物である。種類も豊富で、今回筆者は「インスタントオートミール」という、比較的調理しやすい・食べやすいものを購入している。内容量270g入りで価格は税抜350円ほどだ。

 オートミールと聞くと、多くの人は健康食品のイメージが強いかもしれない。食物繊維が豊富で低GI値ということもあって、ダイエット食材としても知られている。

 しかし、オートミールのメリットは、栄養面だけに限られない。調理するのに特段の手間がかからず、レーション(戦闘食)として採用している国もあるほどで、携帯食としても非常に優秀である。当然、車中泊・旅行中の車中飯にもおすすめだ。

 オートミールは炊飯のような手間のかかる作業が不要で、耐熱容器に食べたい量だけオートミールを入れて、お湯を注いでかき混ぜれば食べられる。もちろん、電子レンジやガスの力を借りてより美味しく調理する方法もあるが、お湯を入れて待つだけで十分食べられる柔らかさになる。

 味は素朴な麦粥のようで香ばしく、米に慣れた日本人にとって抵抗感は低いものと推察される。ただ、米やパンの味に慣れた人にとって、オートミールは若干敷居が高く感じられるかもしれない。

 筆者も食べる前までは日本人の口に合わないと思っていたが、実際に食べてみると食べごたえがあって美味であり、調理によって味のバリエーションを増やせるため、それ以降は車中泊や旅行時にも車に積み込むようになった。

■お湯をどう調達するか

 オートミールを調理する際のお湯についてだが、食べられる状態にするのに沸き立てグラグラの熱湯を使う必要はないので、近場で車中泊するなら「保温機能が備わった水筒」に自宅で出発前に沸かしたお湯を持って行けば十分だろう。

 遠出する場合、筆者はコンビニで買い物をしたついでに、店員さんに確認してからカップラーメン用のお湯をいただいている。1食分なら150ccほどで事足りるだろう。熱湯に近い温度のお湯が手に入るため、こちらも水筒に必要な分だけお湯を入れて調理すれば問題ない。

水筒を満杯にする必要はなく、食べる分だけお湯を調達する

 なお、コンビニでお湯をもらう際のマナーについては意見が割れるところではあるが、筆者は以下の点に注意している。

・店員さんに了承を得てから水筒にお湯を入れる
・お店で買い物してからお湯をもらう
・その他、お店側の定めたルールがあるならそれに従う

 それでは、具体的なレシピを見ていこう。どれも調理は非常にカンタンなので、味の好みに応じて選んでほしい。