■片道1時間の絶景稜線が爽快すぎる鷲ヶ峰

鷲ヶ峰の稜線。あまりの開放感に思わず走り出したくなる

 霧ヶ峰は、さまざまなパターンのハイキングコースを計画することができる。駐車場から車山をピストンしてもいいし、湿原を周るコースもいい。外輪山を歩くトレイルはさらに楽しい。それらを組み合わせれば、それなりに歩けるから満足度も高まる。

 そんな中で、静かに自然を味わいたい人には八島ヶ原湿原と鷲ヶ峰をすすめたい。八島湿原駐車場を起点にまず鷲ヶ峰に登り、それから八島ヶ原湿原に下りて木道伝いに時計回りで歩く、コースタイム3時間半ほどのコースだ。個人的な探究で、もう何度も歩いているお気に入りのパターン。軽めのハイクをしたい方や、久しぶりに歩くという人もきっと気に入る手軽なコースである。

 鷲ヶ峰の魅力は、稜線を歩く気持ちよさと展望のよさに尽きるだろう。北方に位置する美ヶ原(うつくしがはら)と結ばれる「信濃路自然歩道」の一区間でもあり、管理の行き届いた登山道は歩きやすい。標高は1,798mとなかなかの高さだけれど、スタート地点の八島湿原駐車場がすでに標高1,640mもあるので、1時間程度で登れるのも魅力。ゆるやかな登りをコツコツと歩けば、初心者でも労なく到達できる。

鷲ヶ峰の山頂は、ご覧の通りの大展望!

 山頂は、見ての通り360度の大展望。北アルプスや美ヶ原、浅間山に群馬方面の山岳まで見渡せる。そのうえ、乗鞍岳に木曽御嶽、中央アルプスに南アルプス、眼前には八ヶ岳、そして富士山までもがはっきりと視認できるのだから、この眺めは実に素晴らしいのひと言だ。

八島ヶ原湿原。夏は鮮やかな緑に満ち、秋は黄金色に染まる

 途中、大きなケルンに御嶽神社の跡地を示す石碑がある。そこは八島ヶ原湿原を眼下に見下ろすことができる絶好のポジション。広大な緑の絨毯の先には、山頂の丸いレーダーが目立つ車山のピーク、その向こうには起伏に富んだ長大な稜線を広げる八ヶ岳連峰。運がよければ富士山も。この山は常にこんな調子で絶景が続くから、山に詳しいハイカーはみな、そこら中で名の知れた名山の指さし確認に忙しい。