山梨県では梅雨明けから入山者が増えている。特に海の日の連休は多くの人出に賑わった。県外からの登山者が多い山梨県では、日本で2番目に高い北岳での滑落が目立った。山梨県警発表の1か月間(6月26日~7月25日)の山岳遭難発生状況を元に、山梨県在住ガイドが地域課へのインタビューを行った。

■山梨県での遭難は約半数が南アルプスで起きている

山系別遭難発生状況、南アルプス山系8件(47%)、八ヶ岳1件(6%)、秩父山系5件(29%)、大菩薩・道志3件(18%)『山梨県警発表、2021年6月26日~7月25日』

 南アルプス山系で起きた事故は8件。そのうち北岳は6件、日本で3番目に高い間ノ岳は1件、白鳳峠で1件。2年ぶりにオープンした広河原登山口からのアクセスに人気が特に集中しているようだ。今年は梅雨明けから天候に恵まれたため、海の日連休の24日(土)は、北岳と間ノ岳で、4件の救助事案があった。広大な山岳地帯で1日に4件出動した救助隊の疲労は計り知れない。

■山梨県の遭難の原因1位は滑落!

態様別遭難発生状況、道迷い4件(23%)、滑落7件(41%)、転落1件(6%)、転倒2件(12%)、疲労2件(12%)、発病1件(6%)『山梨県警発表、2021年6月26日~7月25日』

 では、何が原因で事故が起きているのか見てみよう。「滑落」が多い。これは全国の統計と比べると高い数値だ。警察庁発表(2020年)の遭難のうち、一番多いのは約4割を占める「道迷い」である。山梨県は低い山から3000m級の山を有し、四季を通して登山者が訪れるため年間では道迷いが多い。しかし、夏季(7~8月)は高山への人気が高くなり、滑落のリスクがあるエリアへ入る人が多くなるため、と考えられる。