■ワタスゲ踊る湿原と芳ヶ平ヒュッテ
今朝がたの雨で少し濡れてしまったのか、少々ペタッとしていたワタスゲたち。けれど心地よい風が吹き、しばらくするとフワフワしてきた。開けた視界と相まって幻想的だ。よく整備された木道は歩きやすく、眺めのいい場所にはベンチが置いてある。湿原の中にはカルガモもいて、子供たちは飽きることなくその風景を眺めていた。
上から眺めても凄い景色だが、下から眺めても圧巻だ。草津白根山の荒涼とした山容と緑豊かな森が見事に調和している。きっとここに来る鳥たちは、はるか昔からここに楽園があることを知っていたのだ。ときおり流れてくる微かな硫黄臭が、自分がその楽園の目印だといわんばかりに草津白根山を意識させた。
快適な木道歩きで湿原を周回して、芳ヶ平ヒュッテにも寄ってみた。魅力的な山小屋で、通年営業しているとのこと。大きなピックアップトラックにスノーモービル、それに大きなワンコ。どこかカナダかアラスカ的な雄大な雰囲気を感じた。トイレも借りられるので小銭を用意しておこう。子供たちが、ヒュッテの看板に目ざとくジェラートの文字を見つけてしまった……。どうやらパスタやコーヒーの軽食もあるらしい。
今後のための偵察にキャンプ場にも行ってみたが、”ゲット・ワイルド”な風情だ。また冬にもキャンプにも訪れてみたいところが増えてしまった。キャンプ場で休憩しておやつを食べていると、山肌を横切る道路を数台のクルマやバイクが通り過ぎるのが見えた。これからあそこまで戻る旨を子供たちに伝えると、案外元気のいい返事が戻ってきた。帰りは1時間半くらいかな? 水浸しのトレイルや、ひょっこり出てきたマムシに驚いたりもしたけれど、帰りの足取りは軽く実際より早く着いた気がした。初夏にふさわしい山旅だった。ワタスゲの見頃はまだしばらく続きそうだ。