来たる夏山シーズンに向けて、6月22日、23日の2日間にわたり、栂池高原から白馬岳へのルートの登山道整備が行われた。小谷村山案内人組合のメンバーとして僕も作業に加わったので、簡単ではあるが状況を報告したい。このルートは、栂池高原スキー場のゴンドラ、ロープウェイを利用して「天狗原(てんぐっぱら)」を経由して白馬乗鞍岳、「白馬大池」へ。さらに「雷鳥坂」を登り小蓮華山へと稜線をたどり、「三国境」を経て白馬岳へ登頂するもの。
作業の大まかな内容は、雪が溶けて姿を現した登山道の状態を確認し、必要に応じて修復作業をしている。残雪でルートが分かりにくい部分は、ピンクテープを巻いたり、ベンガラ(赤い顔料)を撒いて目印となるようにしている。残雪はおおむね例年並みだった。
登山口から「天狗原」までは、日当たりの悪いところにはまだ雪が残っている箇所があった。「銀嶺水」の水場はまだ雪に覆われている。稜線上は部分的に雪が残っているところがあるが、目印を目安に慎重にルートを外さないように歩けば問題ないだろう。白馬乗鞍岳の雪渓には例年どおりフィックスロープを垂らしてある。ルートの目安として、また雪上歩行に慣れていない場合は登り下りの手助けとしてほしい。午前中の早い時間など、雪面が硬いときにはクランポン(アイゼン)の使用が安全だ。
気になる高山植物の開花状況だが、白馬岳山頂周辺ではツクモグサの花が最盛期を迎えようとしていた。ウルップソウもチラホラと花を付け出し、7月上旬に見頃を迎えそうだ。ハクサンイチゲの白い花も目立っていた。「高山植物の女王」、コマクサは白馬大池上部の砂礫帯では気の早い株が開花していたので、こちらもこれから楽しめる。「天狗原」などの湿地にはミズバショウも多く見られた。
また雷鳥坂から小蓮華山にかけては、登山道のそばでライチョウも多数見ることができた。驚かさないようにそっと見守るようにしたい。
ルート上にある白馬大池山荘、白馬山荘ともに7月3日(土) から営業を開始する予定なので、うまく利用して登山計画を立てるとよいだろう。日ごとに雪解けも進み、登山道の状況も変化していく。余裕のある計画で、無理をせずに安全で楽しい登山を楽しんでいただきたい。