■立山川へ下る道で

息子は恐竜時代と呼ぶ道

 山頂から剱岳、大日岳、赤谷山の眺望を楽しみ、下山は東小糸谷コースから下ることにした。こちらの道は谷底に流れる立山川へ一気に下る。登りが巨木の道なら下りは花の道といった感じだ。ニリンソウに遅咲きのカタクリソウ、シラネアオイも少ないながら咲いていて目を和ませてくれた。下山中も、低山好きの女性グループの方が、家族向けの山を色々教えてくれた。山野草にやたら詳しいカップルに、食べられる野草を教えてもらったり、ひとり静かに花の姿をカメラに収めるおじさんに花の名前を教えてもらったり、終始楽しい下山だった。

ちょっとした渡渉が2ヶ所ある

 小さい沢と並びながら下ること約1時間で立山川の本流と合流した。ここからはよく整備された道を駐車場までトコトコ下る。立山川の渓流で竿を振る人の狙いはイワナだろうか。山深いエリアだ。夜も星がきれいだろうな。時世が落ち着いたらキャンプ場で野営しながら、登山をして釣りをして……。釣りあげたイワナを焚火で炙って、骨酒を片手に満天の星空を眺めたら、また格別だろうな……。と思う。振り返ると剱岳がうっすらと、「またおいで」と言っているように見えた。ちょっとした会話から始まった素敵な山旅だった。

振り返るとホオノキマンがいました!