■山小屋まで歩いてみませんか?

静高平の水。静かで高いところかー、と思っていたけど、静岡高校から命名

 長野側の易老渡から光岳を目指すと、まず通るのが面平。サワラの巨木が迎えてくれる。それも「あれかなぁ?」と探すまでもなく。名前の通り、お面のように平な場所で、ほっと一息つける。ここまでくると空気すらも美味い(雰囲気がその気にさせる)。

 続いて、易老岳までは深いコメツガの森の中をゆく。鞍部の三吉平を過ぎれば、光岳小屋までもうすぐだ、という気持ちになる。森の中、そして草原を歩いているようで、この先にどんな景色が待っているだろう、と毎回わくわくする場所。

 その先の静高平では、いつもつい大休止してしまう。お気に入りのお菓子を食べる。水だってジャブジャブ流れているし(季節によるけれど)、沢沿いにお花畑が楽しめる。誰かの庭にお邪魔しているような気分になる。そこから見える聖岳も最高だ。

やっぱり小屋は落ち着くなぁ

 そして、センジヶ原に着くと、そこは楽園。モコモコと苔やイネのような草が半球体状に盛り上がっている。「アースハンモック」というらしい。好きだ、まるいもの。楽園の中を通れば、もう山小屋が見えてくる。

 この山にいると、何か大きな存在に守られているようにも思うし、懐の深さも感じる。とにかく、あまり人に会わないでいられる。だからこそ、たまに人にばったり会えると嬉しい。街で生活する日々が長くなると、山でそんな気持ちになるのも新鮮だ。