「無人地帯での遊び方」なるテーマを掲げた書籍が発売された。『“無人地帯”の遊び方 人力移動と野営術』(グラフィック社刊)と題されたその本は、書名の通り、人がいない場所をいかに探し出し、辿り着き、快適に過ごすか、その方法(遊び方)について書かれた特殊な1冊だ。

 本連載の第4弾は、「個人スペースの設営」について本の一部を抜粋してお届けする。無人地帯において、テントの役割は寝床や道具置き場だけに止まらない。タイプ別テント内の間取り例とともに、その重要性を考えてみよう。

■テントは就寝場所であり、パーソナルな空間でもある

宿泊地は砂浜のこともあれば、湿った森や河原、岩場のこともある

 焚き火を囲む共有スペースを家庭のリビングに例えるならば、テントは個室といえる。

 この個室は単なる寝床と荷物置き場にとどまらない。40歳を過ぎた男たちが毎年のように仲良く山へ海へと繰り出せるのも、テントという個室があるからだ。僕らがケンカもせずにいられるのは、現代のテントが軽くなったおかげで、個人が1つずつプライベートな空間を確保できるようになったからだろう。

スペースの作り方は多種多様

 僕は四六時中仲間と過ごしたいタイプで、焚き火を離れてテントに潜り込むのはいつも最後といった感じだが、メンバーのなかには早々とテントに入るものもいる。テントの設営場所も、焚き火の近くに張るものもいれば、仲間から少し離れた場所に張るものもいる。

 このように各々が快適な距離感を保つことは、長い旅でギスギスしないための重要なテクニックだ。

 個室感の強いテント、張れる場所のバリエーションが幅広いハンモック、開放感のあるタープ、小さなスペースでも眠れるビビィサック……。好みは人それぞれ。自分自身がストレスなく過ごせる寝床を見つけておきたい。