一般的なアウトドア本とは違い、「無人地帯での遊び方」という一風変わったテーマを掲げた書籍が発売された。『“無人地帯”の遊び方 人力移動と野営術』(グラフィック社刊)と題されたその本は、書名の通り、人がいない場所をいかに探し出し、辿り着き、快適に過ごすか、その方法(遊び方)について書かれた特殊な1冊だ。

 その本の一部をご紹介していく本連載の第3弾は、「行動中のウエアリング」についての考察。バックパックやシューズ、シェルやテントなど、その他の道具の選び方については別の機会に譲るとして、今回は中でも特に重要な下半身のウエア選びについて紹介する。

■足さばきが良いショートパンツが活躍

ショートパンツをベースに組み立ててみる

 クライミングパートがない限り、行動中、腕は足に比べて動かす頻度が少ない。だから、僕らが主に旅するようなエリアで着用する上半身のウエアは、下半身ほど可動性を考えなくても良い。また行動中は体温が上がり、あまり保温性や速乾性がなくても寒く感じづらい。つまり、状況にもよるが上半身のウエアは意外に適当でも何とかなってしまう場合が多い。

 対して、下半身のウエア選びは熟考したい。登山道のように歩きやすくはない場所で行動するには、ストレスなく足を動かせることがとても重要だ。温暖な時期や暖かい地域を中心に活動する我々は、無人地帯での行動用パンツにショートタイプを多用している。そして、ショートパンツをベースにタイツなどを組み合わせ、環境の変化に対する応用度を上げている。

 肌の露出に抵抗がある人や寒い時期の行動には、もちろんはじめからロングタイプのパンツが適している。