■まずは「川の駅特設釣り場」へ!

神流川。「川の駅上野」から下りたポイント

 魚影の濃さに期待して、まずは「川の駅特設釣り場」へ。当日は5月下旬で、この区間はまだ予約制(6月からは通常C&R区間)だった。河原に降りる階段からは、うわずった魚たちがよく見えて期待が高まる!

ライズを繰り返すヤマメ

 散発的にライズが起こっている。とはいえ、流れのないところに浮いている魚は反応が薄い。流れに入っているヤマメを狙うことにして、流芯をドライフライ(※3)で流す。さっそく勢いよく飛び出してきた! だが、フッキングが甘くすぐに外れてしまった。フライサイズを小さく、ティペット(ハリス)を8Xまで落として慎重にドリフトすると、続けて小さめのヤマメが出迎えてくれた。

いいヤマメには、どこか気品を感じてしまう

 やる気のある大きめのヤマメを狙いたくて、「こんなところに居ないでしょ!」っていうくらいの浅瀬を流すと、ガバッと尺サイズがフライを咥えてくれた。そのまま浅いところで勝負したかったが、一気に流れ込みから深場へ逃げ込まれてしまい、底石で擦られてティペットが切れてしまった……。ヤマメたちの挙動に一喜一憂しているこの時間が楽しい。

※3 フライ(洋式毛バリ)の一種。水面に浮かせて流す。

■冬季の残党、ハコスチも狙える!

本州の渓流でこのサイズのトラウトを釣れる場所は少ない

 秋になると「川の駅特設釣り場」の区間は、冬季釣り場としてハコスチを放流している。2021年も10月中旬オープン予定だ。実際僕も何度か訪れて楽しませてもらっていた。当然冬が終わっても残っているハコスチたちがいるのだ。

 流れの中、ヤマメに混ざってひときわ大きな魚影がチラホラ見える。ただでさえ容易に釣らせてくれないハコスチだが、釣り人に狙われ、さらに賢くなっている。サイズも大きくなっているだろう。きっと素晴らしいファイトをしてくれるに違いない。

 この日、すでに水温は16℃まで上がっていた。ハコスチは酸素量の多そうな流れが集約しているポイント、そのボトムに定位している。ストリーマー(※4)をダウンで流し込み、スイングさせた。思ったより反応はよく追ってくる。咥える瞬間が丸見えなので、すかさずフライをセットする。呆気なくかかったのは良かったのだが、さすがはハコスチ! 重量感と引きの強さは半端ない。寄せては走られを繰り返し、「もう少しで!」というところであえなくフックアウトしてしまった。

引きが強く釣りごたえ十分なハコスチ

 その後、50cmほどのものと40cmくらいのハコスチをどうにかキャッチできた。プレッシャーをかけながら、ダマシだまし手元に寄せてなんとか2本。疲労感と満足感が同時に押し寄せる。60cmに近い大物もかけ、15分以上格闘したがティペットが切れてしまい手にすることはできなかった。3番ロッドに6Xのティペットだったが、ロッドが折れそうなほど弓なりにしなり、テンションをラインに移すしかなかった。実は車には強いロッドやラインも準備していたのだが、つい手間を惜しんでしまったのが反省点だ。ヤマメとは明らかに釣り分けられるので、次回は2セット用意して臨みたい。

※4 フライ(洋式毛バリ)の一種。小魚を模したパターンが多い。水中を流す。