釣り場までのアプローチが楽で、朝・夕の薄暗い時間に安心して釣れる場所。もちろん魚影が濃ければ申し分ない。できれば美しい魚が嬉しい。釣り人のワガママな要望に応えてくれるキャッチ&リリース区間が、佐久漁業協同組合管内にある。

■基本はキャッチ&リリース! コンセプトは「釣りをしながら魚を育てる」

明るく穏やかな流れに心も和む

 湯川は軽井沢町に端を発して御代田町を流れ、佐久市内で千曲川と合流する。そのうち軽井沢町茂沢発電所から御代田町草越の広戸堰堤までを、フライフィッシングとルアー専用区「トラウトパーク軽井沢」として、2020シーズンから佐久漁業協同組合が運用している。

ルールを書いた看板には「釣りをしながら魚を育てる」とある

 コンセプトは「釣りをしながら魚を育てる」で、区間内は基本的にキャッチ&リリース(※1)だ。遊漁規則は以下のとおり。

1.トラウトパークはフライフィッシングとルアー(スプーン・スピナー・ミノー)専用区です。
2.振り出し竿、のべ竿、テンカラ竿など、リールのない竿と、エサ釣り、ソフトルアー、ワーム及び引っ掛け釣りはご遠慮ください。
3.フックはバーブレスで、ルアーのトリプルフックはシングルフックへ変更しての遊漁にご協力ください。
4.曳舟、魚籠、フラシ、ストリンガー、クーラーボックスを携行しての遊漁不可にご協力ください。
5.魚の持ち帰りは、佐久市中込の「千曲川子供釣り体験池」と同様、ひとり1日3尾までとしますので、ご協力ください。
“佐久漁業協同組合”

※1 釣り上げた魚を極力ダメージを与えないようにして、元気な状態で水に帰すマナー、またはルール。魚の持ち帰り(キープ)の禁止。

■穏やかな流れに潜む美形ヤマメたち

パーマークがくっきりとした美肌ヤマメ

 「トラウトパーク軽井沢」区間の湯川は、渓流というより里川の雰囲気で、淵と瀬がバランスよく連なっていてポイントも多い。全般的に開けていてロッドを振りやすく、バックスペースが必要なフライフィッシング に向いているポイントが多い。駐車場や道は左岸側だが、渡渉しやすい箇所もあるので、右岸からも釣りができる。

 基本的にキャッチ&リリースなので魚は多いのだが、日中はなかなかその存在を感じることはできない。けれど、ひとたびライズ(※2)が始まるとその魚影の濃さに驚愕する。そういった場所は魚がスレている(※3)ことが多く、なかなか釣れないのだが、ここは「魚が賢く育っている」感じだ。やみくもにルアーやフライを流しても釣れないが、魚の反応を見ながら丁寧に釣りをすれば応えてくれる。適度に難しくおもしろい。そんな印象だ。

 比較的狭い区間でのキャッチ&リリースでは傷めつけれた魚体が多いのだが、「トラウトパーク軽井沢」ではそんなことはない。鳥に突かれた痕はあったりするものの、手元に引き寄せると美しく見とれてしまう。ここへ来る釣り人たちが大切に扱っている証拠だろう。それが釣り人のエゴだとは知りつつも、僕も昨年から数回訪れてフライフィッシングを楽しませてもらっている。

※2 エサを捕食する場合など、魚が水面付近に出てくること。ジャンプしたりすることも。
※3 釣り人の多さやその他の要因から、魚の警戒が強かったりエサを見極める能力が高く、釣られにくいこと。