■いざ五竜岳山頂へ!
暗いうちからヘッドライトを照らして、いざ山頂へ! テン場からは往復2時間ほどだ。少しの行動食と飲み物を持って、身軽な荷物で行けるのがいい。他にもポツポツとヘッドライトの光が見えて、自分だけじゃないと心強さも感じた。昨日は一度も五竜岳を見ていないので、どんなルートなのか分からないままだ。ゆっくりと、でも日の出に間に合うようにと進んでいく。暗くて高度感がないのがありがたかったのかもしれない。ずっと岩場を登っているのは分かる。2ヶ所鎖場があったりするが難易度はそれほど高くない。
「荷物も軽いしへっちゃら!」
日の出前には山頂に辿り着いた。
明るくなってきて分かったのは、雲海と高曇りの狭間にいるということ。太陽が見られるのもわずかな時間だけだった。期待していたような日の出ではなかったが、やっぱり初めての光景に心奪われて、すっかり見入ってしまった。
鹿島槍ヶ岳の猫耳(双耳峰)がかわいらしく見える。今回のテント泊も鹿島槍ヶ岳にするか迷っていたくらい行きたい山。
「次はそこへ行くからね」
との思いを胸に……。
もう一つ、楽しみにしていたのは「滝雲」だ。秋になると発生しやすくなると聞き、見られるかもしれないと期待していた。一面覆い尽くすかのような雲海が突然ゆっくりと山肌を流れはじめた。山が飲み込まれていく様子がすごくかっこよかった。
■登った山はさらに綺麗に見えた!
テン場に戻ったら青空と五竜岳の組み合わせを正面に朝食、そしてコーヒータイム! 登頂したばかりの五竜岳を眺めるのもまた最高の時間。今までは遥か遠い町からただ見るばかりだった景色。子どもの頃は真っ白になった北アルプスを見ながら学校へ通う日々だったが、自分がその頂きに立つ日が来るなんて思ってもいなかった。それは本当に感慨深いことだ。これからは五竜岳は、もっと綺麗に見えるだろう。
五竜岳と唐松岳との間はしばらくゆるやかだったが、そのあとの登り返しがきつい。さらに険しい牛首岩稜となる。すれ違う人からも怖かったと聞かされた。難易度はそれほど高くないとのことだが、鎖を頼りに慎重にしっかり足を進める。怖がりな私でもゆっくり進めば大丈夫だった。振り返れば五竜岳、横を見れば剱岳と贅沢な景色に感激した。終始楽しめた初めてのテント泊だった。次はどんな山旅になるか、今からワクワクする♪
五竜山荘 https://www.hakuba-sanso.co.jp/yamagoya/goryusanso.html