■ホテル前に広がる千畳敷カール。絶景に圧倒される

ホテルの前から見た千畳敷カール。「乗越浄土」へ向かう登山者が蟻のように見える

 登山口となる駒ヶ岳ロープウェイ終点の千畳敷駅は、「ホテル千畳敷」の中にある。バスとロープウェイを乗り継いで到着したのは、標高2600mの雲上の世界だ。一歩外に出ると、まさに銀世界!目の前にはまばゆい雪に覆われた千畳敷カールの壮大な山岳風景が広がっている。左手には宝剣岳から「サギダルの頭」にかけての稜線。岩と氷が織りなす緊張感のある眺めだ。
 ホテルの反対側にはロープウェイからも見えていた南アルプスが広大に広がり、その奥に富士山が垣間見える。当然ここまでは観光でも見れる景色なのだが、この眺めを見るだけでも十二分に価値はある。

今回のルートのイメージ。赤線が登山ルートとなっている

 長いアプローチを歩くことなく、いきなりハイライトだけをつまみ食いするように歩き始めることができるこのルート。本来は時間をかけてじっくりと挑む冬の高山に、まるでワープするかのように到達できてしまう。グリーンシーズンもいいが、厳冬期はさらにお買い得感にあふれている。ただし、アプローチを端折っただけで、冬の高山に内包するリスクは当然そこにある。