身近な自然から旅先の風景まで、カメラを通して眺めてみると、新しい発見があったり、思いがけない美しさに出会ったりすることがあります。この連載では、撮影した写真とともに、自分なりの写真の楽しみ方や、そのときに感じたことを紹介していきたいと思います。
■草むしりの季節
葉が落とす影が濃くなり始めた5月。今年初めて、庭の草むしりをしました。自然を眺めたり、写真を撮影するのは好きですが、草むしりだけは、なかなか好きになれません。
毎年、初夏から秋にかけて草むしりを繰り返していると、季節の移ろいとともに、庭に生える雑草の顔ぶれが少しずつ変化していくことに気づきます。その変化を追っているうちに、形や手触り、匂いなど、それぞれの草が持つ個性にも自然と目が向かうようになりました。
そんな雑草をただ抜いてしまうのは、なんだかもったいない気がして、今回は草むしりをしながら写真を撮ってみることにしました。
■葉を透かして見る
まず、気になった葉を空にかざし、透き通った緑と葉脈がきれいに見えるものを選びました。
その美しさを安定した条件で写したかったので、太陽の代わりにトレース用のライトボックスを使って撮影することにしました。撮った写真を確認してみると、透明感のある緑はもちろん、鮮やかに浮かびあがる輪郭や、葉によって異なる葉脈の模様など、普段の視線では気づかなかった姿形が見えてきました。
■モノクロで際立つ葉
撮影したなかでもっとも美しく感じられたのは、モノクロで撮った写真でした。
葉を太陽にかざしたときは、透き通った緑に惹かれましたが、写真をモニターで鑑賞しているうちに、色よりも葉の輪郭や細部の様子に目が向かい、いつしかそちらに魅力を感じるようになりました。
さらに、モノクロ写真の白黒を反転させたり、カラー写真の色を反転させたりしてみると、葉は植物という枠を離れたひとつの造形物のように見えてきました。普段はあまり気に留めていなかった小さな庭にも、意識して見てみると、まだ知らなかった葉の形が思いのほかたくさん潜んでいたのです。
草むしりは相変わらず後回しにしてしまいますが、生活を送るなかで、以前よりも雑草に目が留まるようになった気がします。

