■初めてのシングルバーナーで山頂の調理に悪戦苦闘

当時の写真。家庭用のアルミ鍋を持参し、新品のバーナーでなんとか湯を沸かした

 山頂で景色を楽しんだあと、楽しみにしていた“山ラーメン”の時間となった。ところが、ここでも初心者らしい失敗が続いた。

 自宅でシングルバーナーの操作を練習してはいたものの、実際の山では環境がまったく違う。山頂は風が強く、火が安定しない。ザックを風防代わりにしたり、石を組み上げてみたりして、ようやく湯を沸かすことができた。

 現在は慣れた作業だが、当時はバーナーの組み立てや火力調整にも手間取り、ガスの音にもヒヤヒヤしながら点火ボタンを押していた。それでも、苦労して作ったカップ麺は驚くほど美味しかった。 

 山頂で食事をするという行為そのものが特別であり、「山で過ごす時間の楽しさ」を初めて実感した瞬間でもあった。

 最後に、バーナーを収納する際は、点火部分や五徳が非常に高温なので、くれぐれも火傷には気をつけてほしい。筆者のように、熱いままのバーナーを掴み、手袋に大きな穴を空けてしまうようなことがないように。

木々の合間から、本栖湖も見ることができた

■登りより緊張! 慎重さが大切な下山路

根子峠の案内板。滑らないよう緊張を強いられる下り坂が待ち受けている

 「登りは体力、下りは技術」とはよく言ったもので、下山中には、登りより下りのほうが難しいということを強く感じた。

 登りでは気にならなかった坂道も、下りになると急斜面に感じる。特に砂混じりの場所では足が滑りやすく、慎重に足の置き場を選びながら歩かなければならなかった。

 その頃は下山時の足運びにも慣れておらず、必要以上に踏ん張っていた。その結果、下山する頃にはふくらはぎがかなり張っていた。

 「山頂へ着けば終わり」ではなく、安全に下山してこそ登山。そんな当たり前のことを、この山で初めて学んだ。それでも、不思議と疲労感以上に達成感と高揚感のほうが大きかった。足の疲労はかなりのものだったが、また山へ行きたいという気持ちが自然と湧いてきた。

●登山デビューにおすすめ! パノラマ台

 パノラマ台は、短時間で登頂が可能な山でありながら、富士山の大展望を楽しめる魅力的なコースである。

 一方で、急坂や滑りやすい下山道もあり、初心者にとっては“登山らしい難しさ”も体験できる。だからこそ、山頂へ立ったときの達成感は大きい。そして何より、「自分の足で登った先に絶景がある」という登山の魅力を強く実感できる山だった。

 はやる心を抑えて、入念な準備を行い、最高の富士山に出会ってほしい。これから登山を始める人にとっても、きっと印象深い一座になるはずである。

 

●【MAP】パノラマ台(精進湖)

●【MAP】パノラマ台登山口