山梨県富士河口湖町にあるパノラマ台は、精進湖(しょうじこ)から比較的短時間で登れる富士山展望の人気スポットである。登山口から山頂までは約1時間ほど。標高は1,328mと周囲の山々と比較すると高くはないが、山頂からは精進湖、青木ヶ原樹海、そして大きな富士山を一望できる。
特に魅力的なのが、富士山との距離である。山頂では富士山が真正面に迫り、まさに「富士山を見るために登る山」と言えるほどの迫力ある景色を楽しめる。
登山道は比較的わかりやすく、初心者でも歩きやすいルートである一方、急坂や滑りやすい下山道もあり、登山ならではの難しさも体験できるコースだ。
実はこのパノラマ台は、本格登山デビューとなった、筆者にとって思い出深い山でもある。数回のハイキング経験を経て挑んだパノラマ台は、不安や失敗の連続だった。しかし、山頂で見た景色は鮮明に記憶に残っており、今では登山歴8年目、もうすぐ登頂500座に到達するほど登山にハマるきっかけを作ってくれた山である。
●精進湖登山口へのアクセス
登山口は精進湖畔沿いにある。中央自動車道・河口湖ICから車で約25分ほど。国道139号からアクセスしやすく、周辺の観光地とも組み合わせやすい立地だ。
周辺には駐車スペースが点在し、キャンプ場や売店もあるため、観光地らしい雰囲気も感じられる。天気が良ければ登山前から目の前に富士山が見えて登山のボルテージを高めてくれる。
公共交通機関を利用の場合は、富士急行線・河口湖駅から富士急バスを利用して精進湖エリアへ35〜45分ほどでアクセス可能。ただしバスは本数が限られるため、事前に確認をしておきたい。
【精進湖他手合浜駐車場からパノラマ台往復コース】所要時間
駐車場 (0:00)→ パノラマ台登山口(0:10)→ 根子峠(0:50)→ パノラマ台(1:00)→ 根子峠(1:10)→ パノラマ台登山口(2:00)
歩行距離:約4.5km
累積標高差:登り 440m、下り 440m
合計所要時間:2時間
■富士山絶景のパノラマ台へ! ビギナー時代を振り返る
●下調べ不足? 行き当たりばったりの登山デビュー
初めてここを訪れた時の筆者は、往復2〜3時間程度のハイキングを数回経験しただけだった。本格的な登山は未経験であり、登山靴もザックもほぼ新品。コースタイムの感覚も分からず、「1時間ほどで登れる山なら大丈夫だろう」と考えていた。
正直、不安がないわけではなかったが、富士山の絶景への期待のほうが大きかった。ワクワクした気持ちを抑えきれず、足早にスタートを切ったのを覚えている。
さらにこの時は、山頂などでインスタントラーメンやアレンジ麺を食べる“山ラーメン”にも挑戦する予定で、そのために購入したシングルバーナーも持参していた。自宅での練習は数回行ったが、屋外での調理は初めてだった。
●想像以上にきつかった最初の登り!「1時間」の重み
登山道へ入ると、最初は樹林帯の穏やかな道が続く。足取りも軽く、これなら問題なく登れそうだと感じていた。しかし、徐々に傾斜が増し、息が上がり始める。
勢いに任せたオーバーペースで、知らず知らずのうちに体力を削られ、コースタイムを大幅に下回っていた。特に初心者の頃はペース配分が分からず、気づかないうちに無理をしてしまう。筆者も何度も立ち止まりながら登ることになった。
それでも、木々の隙間から富士山が見えるたびに気持ちは前向きになる。標高を上げるにつれて少しずつ視界が広がり、山頂からの絶景を見てみたい、という気持ちが強くなっていった。息は上がっていても、景色に引っ張られて、不思議と楽しく歩ける。
●山頂で初めて見た“本物の富士山” 想像を超える景色だった
息を切らしながらなんとか山頂へ到着すると、一気に視界が開けた。目の前には大きな富士山。その手前には精進湖、さらに青木ヶ原樹海が広がっている。想像以上のスケール感にしばらく言葉が出なかった。それまでの疲れや不安が、一瞬で吹き飛んだ感覚を今でも覚えている。
写真では何度も見ていた富士山だったが、自分の足で登った先にある景色はまったく別物だった。山頂の風、空気の冷たさ、どっしりと構える富士山。その場でしか味わえない感覚があった。
正直、登りはかなり辛かった。しかし、その苦労があったからこそ、山頂で見た景色の感動は大きかったのだと思う。この山行をきっかけに、登山の魅力を強く感じるようになった。