■トイレは「あって当たり前」ではない

八ヶ岳の赤岳から阿弥陀岳に登り、御小屋尾根から美濃戸口に出るルートにはトイレがない

 当たり前だが、山ではトイレに行きたくてもすぐ行けない。事前に歩くコースを確認し、トイレの場所に気をつけていても、どうしようもないときもある。

 八ヶ岳で赤岳から阿弥陀岳に登り、御小屋尾根から美濃戸口に出るルートで下山したときのこと。途中に一切トイレがないのは把握していたが、コースタイムが5時間だったため、どうしてもトイレに行きたくなってしまったことがあった。こういうときに役に立つのが携帯トイレ。コースタイムが長くトイレがない場合は用意しておこう。

 山小屋でもトイレの排泄物の処理はバイオトイレを設置したり、汲み取り式のタンクをヘリで運んだり、労力も費用もかかる。利用料や心づけのために100円玉を用意しておくと安心だ。

 利尻山に登った際は、利用した山小屋にトイレがなく、代わりに携帯トイレブースが設置されていて、そこで用を足す仕組みになっていて驚いた。町のコンビニには携帯トイレが売られており、当時筆者は長野周辺の山しか登ったことがなかったため「同じ山でも、地域によってこんなにトイレ事情が違うのか」と衝撃を受けた。

 山の環境を維持し、これからも最高の景色を楽しむためにも人の出すものはすべて持ち帰る意識で、携帯トイレを携帯することを心がけてほしい。

 筆者がはじめて登山をした頃よりは、今の登山は道具も山全体の整備状況も格段に便利で、快適になっている。山での時間は普段の生活のありがたさを思い出させてくれる。装備を万全に整えたら、たまには日常から離れ、あえて不便を楽しみ、山でしか出会えない絶景に会いに行ってみるのはいかがだろうか。