リフト券、ガソリン代、宿泊費。近年の物価高は、ウィンタースポーツにも確実に影響を与えている。かつては「気軽な週末レジャー」だったスキーやスノーボードも、今や家族で1日滑るだけで軽く数万円を超える出費となっている。
そんな物価高騰の最中、シーズン券が10,000円以内で購入できるスキー場があるのはご存知だろうか。
にわかには信じがたい価格だが、約50か所のスキー場がある北海道には今もなお、地域密着型のローカルスキー場を中心に、破格のシーズン券を維持している場所が存在する。立派なレストランやロングコースといった大規模ゲレンデではないものの、雪質や混雑の少なさといった点では、むしろメリットも多い。
本記事では、そんな掘り出し物的な「美深(びふか)スキー場」「名寄市風連(なよろしふうれん)スキー場」「南ふらのスキー場」の3か所をレイアウトや設備を中心に紹介していく。
■シーズン券を10,000円以内で販売するスキー場はなぜ成り立つのか
結論から言えば、これは決して期間限定価格であったり、例外的な価格ではない。ローカルスキー場が10,000円以内のシーズン券を設定できるのには、明確な理由がある。
まず、これらのスキー場は観光客向けというよりも、地元住民の冬季レクリエーションや青少年のスポーツ振興を目的として運営されている点が大きい。採算性よりも「地域にとって必要な施設であること」が重視されており、自治体が主体となって運営しているケースがほとんどだ。
また、コース数やリフト本数を絞り、運営コストを抑えていることも要因だ。ゴンドラや高速クワッドはなく、施設も簡素である。
重要なのは、「安い=質が低い」と短絡的に判断しないこと。むしろ、滑ることそのものを楽しみたい人にとっては、不足を感じることはないし、価格に反映されていると考えれば納得感も高い。
■【美深スキー場】初中級者に支持される練習に最適な一枚バーンの斜面
美深スキー場は、道北らしい軽く乾いた雪質に加え、一枚バーンで構成されたコンパクトなゲレンデだ。シングルリフト1基のみというシンプルな造りだが、初めてスキーやスノーボードをする人や子どものデビューに最適。昨シーズンの利用者数は50,097人と、規模以上に安定した支持を集めている。
ゲレンデは緩斜面から中斜面までが中心で、初心者の基礎練習に適しているのはもちろん、丁寧に圧雪された中斜面でカービングターンを楽しみたい中級者にも十分な滑りごたえがある。急斜面や複雑なコースレイアウトはないが、フォーム確認や反復練習に向いており、「黙々と滑りたい日」に選びたくなる環境だ。
料金面も1回券70円、11回券700円とリーズナブルな設定で、「とにかくたくさん滑りたい」というニーズに直結する。シーズン券も大人7,330円で、数回通うだけで元が取れる計算になる。この価格が実現できるのは、美深町が運営するスキー場であり、地域のスポーツ環境としての役割を重視しているためだ。
さらに、美深スキー場には空中演技を競うスキーのフリースタイル競技「エアリアル」のFIS公認コースが併設されている点も見逃せない。普段は目にする機会の少ない競技施設が身近にあることは、このスキー場ならでは。
雪質、練習環境、価格の三拍子がそろった美深スキー場は、「雪の上に立つ時間を最大化したい」スキーヤー・スノーボーダーにとって、非常に相性のよいローカルゲレンデである。
●美深スキー場
住所 〒098-2214 北海道中川郡美深町敷島347-4
電話 01656-2-2382
ホームページURL http://www.town.bifuka.hokkaido.jp/cms/section/kyouiku/qlmcaj0000005my2.html
※営業日時はホームページよりご確認ください。
■【名寄市風連スキー場】価格破壊レベルの値段設定だけでなく、無料で用具も借りられる神サービスも
名寄市風連スキー場は、「安さ」という点では今回紹介する3か所の中でも突出している。大人の半日リフト券が200円、高校生・シニアは100円、小中学生は無料。さらにシーズン券は大人8,140円という破格の設定で、ナイターを含めて利用できる。この価格を知ると、本当に成り立っているのかと驚かされるが、そこには明確な運営方針がある。
ゲレンデはロープリフト1基のみのコンパクトな造り。初心者向けファミリーゲレンデという位置づけのため、斜面は緩やかで、小さな子どもやスキー・スノーボードが初めてという人でも安心して滑れる設計だ。派手なコースや急斜面はないが、その分、転倒のリスクが低く、雪に慣れるための環境としては非常に優れている。
さらに無料でスキー・スノーボード用具を借りられる点も魅力的である。道具を持っていなくても、思い立ったときに気軽に雪上体験ができるスキー場は、今では貴重な存在だ。昨シーズンのリフト利用者数はのべ30,979人と、規模は小さいながらも地域にしっかりと根付いていることがうかがえる。
この破格の料金設定は、少子化やスキー人口の減少という現実を踏まえ、「誰でも手軽に雪に親しめる場を残したい」という目的によるものだ。滑走距離やコース数を求める人には物足りないかもしれないが、初めてスキーをやる方や初心者にとってはこれ以上ない環境と言える。
名寄市風連スキー場のシーズン券は、上達のためというより、「スキーを始めるための入口」として価値の高い一枚である。
●名寄市風連スキー場
住所 〒098-0509 北海道名寄市風連町字西風連657番地
電話 01655-3-3796
ホームページURL http://www.city.nayoro.lg.jp/section/sportscamp/prkeql0000041zb6.html
※営業日時はホームページよりご確認ください。