筆者の印象では、キャンプ好きな人にはコーヒー党が多い。キャンプでコーヒーミルやドリッパーなどを持ち込んで、じっくりとコーヒーを淹れるYouTube動画もよく見かける。それも渋くてカッコいいのだが、日本には伝統的なアウトドアイベント「野点(のだて)」があるのも忘れないでほしい。
今回は茶道経験、知識もない筆者が、野に出てお茶を点てて、風流を気取って味わってみたのでその様子をレポートしたい。
■茶道の心得は何一つないけれど、野点(のだて)をやってみた
野点(のだて)についてAIに尋ねてみると「屋外で茶を点てて楽しむ茶会。茶室での正式な茶会とは異なり、自然の風情を楽しみながら、気楽な作法で抹茶を味わう。道具も持ち運びしやすいものを選び、キャンプなどでも楽しめる」 との回答があった。ここで注目すべきは最後の部分。野点とキャンプは相性がよいのだ。
堅苦しいのは苦手であるが、“気楽な作法で”という点も気に入った。筆者は正式に茶道を学んだことがないのでほぼ我流となるが、道具やお茶の点て方などの情報を集め、チャレンジしてみた。
■茶道の基礎知識をネットで調べてみた
ほぼ知識ゼロの状態のため、ネットで情報を収集するところからスタートした。最低限必要な道具は茶碗、茶杓(ちゃしゃく)、茶筅(ちゃせん)、棗(なつめ)の4つ。茶杓は抹茶をすくう匙(さじ)で、茶筅は「シャカシャカする道具」といえば通じるだろう。棗は抹茶を入れる容器で、これら道具一式がセットで4,500~20,000円ほどでネットでも販売されている。
ほかにお湯を沸かすためのガスバーナーと鍋が必要だが、保温力の高い水筒や魔法瓶でお湯を持っていくのもよいだろう。
■お金をかけず、あり合わせでお茶道具を準備
道具をすべて購入することもできるが、今回はお試しということもあり、できるだけ家にあるものをかき集め、代用品でやってみることにした。
●茶碗
茶碗は何でも構わないが、お茶を点てる際ダイナミックにかき混ぜる所作が必要となるため、広口で底の面積もほどよくある器がよい。もちろんキャンパーに人気のシェラカップでもいいだろう。
●茶筅(ちゃせん)
茶筅は茶道具類におけるキーパーソン的な存在。これだけは用意したいところだが、なかなか高級なので今回は小型の金属ホイッパー(泡だて器)で代用した。
●棗(なつめ)
抹茶は買わなければならないが、スーパーで見つけた一番安いものはジッパー付きのパッケージで保存も持ち歩きも便利だったので、抹茶用容器である棗は不要とした。
■茶杓(ちゃしゃく)は木を削ってDIY
茶杓は竹製であることが多く、大きな耳かきのような形状だ。普通のティースプーンで代用しても構わないが、アウトドア道具DIY派の筆者としては、これぐらいはブッシュクラフトスキルで自作することに。
それほど難しい工作ではなく、薄いスティック状の木材をナイフで削ると、それらしいものができた。木質材料でも、乾燥した薄い木材であればガス火で焦げない程度に加熱して曲げることも可能だ。
お茶道具は抹茶も含めて、風呂敷や巾着などでひとまとめにしておくと持ち運びが便利だ。