■オンドマリの深みに潜むフナの群れ! ついに見つけた越冬ポイント
探りながら歩いていると、水路の突き当たり(通称 オンドマリ)が見えてきた。周囲より深く、水深は1mほどあった。冬場はこうした深場にフナが集まることがあり、筆者はホソを探り始めたときから目を付けていた地点である。
仕掛けを静かに落とすと、水中のシモリウキがわずかに上下した。外道とは異なる押さえ込み気味のアタリを丁寧に合わせると、本命の寒ブナが姿を見せた。
サイズはやはり10cm前後と大きくはないが、限られた水路内では意外なほど力強く、長さ1.4mの小物竿がしっかりと絞り込まれる。続けて2匹目も掛かり、この場所に寒ブナの群れが入っていることを確信した。
ここで筆者はオンドマリをじっくりと狙うべく、探り釣りから腰を据えた“エンコ釣り”に切り替えることにした。折りたたみ椅子を置き、仕掛けもシモリウキから棒ウキへ変更。エサもアカムシから集魚力の高いグルテンに替えた。するとこれが的中し、フナ特有の控えめなアタリが次々に現れた。外道の派手な動きとは違い、棒ウキがゆっくり沈んでは戻る繊細な揺れを丁寧に拾っていく。
その結果、このオンドマリだけで1時間で12匹の寒ブナを釣ることができた。どの個体も元気がよく、冬の釣りとしては十分な手応えを楽しめた。
この日の釣果(午前9時~午後1時までの4時間)
・寒ブナ:14匹(9〜15cm)
・タナゴ:5匹
・クチボソ&タモロコ:多数
釣りあげた魚たちはすべて元いたホソに返してやった。
【筆者の使用タックル】
シモリウキ仕掛け
ロッド:淡水用小物竿 1.4m
ライン:ナイロンライン 0.6号
シモリウキ: 0号のシモリ玉を5個使用
オモリ:板オモリ 適量
ハリ:袖針2号(0.4号のハリス付き。カエシはつぶした)
エサ:生きたアカムシ
棒ウキ仕掛け(ハリは段差で2本セット)
ロッド:淡水用小物竿 1.4m
ライン:ナイロンライン 0.6号
ウキ: 淡水小物用の棒ウキ
オモリ:板オモリ 適量
ハリ:袖針2号(0.4号のハリス付き。カエシはつぶした)
エサ:グルテンエサ(ヘラブナ用)
【あると便利な道具】
小物用の針外し:魚に触れず針が外せる
エサ入れ:エサが乾燥するのを防ぐ
玉網:不意に針掛かりする大型のフナやコイを掬うための網
水汲みバケツ:釣った魚を生きたまま一時的に入れておくもの
エアーポンプ:水汲みバケツに入れた魚に酸素を供給するポンプ
折りたたみ椅子:釣り場での腰掛
小型の観察水槽:釣った魚を横から観察できる
手洗い用の水:ペットボトルに入れて用意
タオル:濡れた手を拭くために使用
■冬でも楽しめる身近な釣り。寒ブナを探しに水郷へ出かけよう
今回の釣行では、冬の静かな小水路でフナと向き合う時間の心地よさを改めて実感した。盛期のような派手さはないが、繊細なアタリを丁寧に拾い上げるひとときには、冬の釣りならではの落ち着いた魅力がある。寒ブナ釣りは、冬の静かな水辺でじっくり楽しめる、貴重なターゲットだ。
釣り場を離れた帰り道、ふと思い立って立ち寄った川魚店で、小鮒の甘露煮を手に取った。牛久沼周辺では、冬に釣った寒ブナを甘露煮にして味わう習慣が今も続いている。筆者もその風習を昔から耳にしていたため、久しぶりに味わってみたくなった。素朴な甘辛さにはどこか懐かしさがあり、冬の水郷の景色と重なるような温かさがあった。
冬枯れた小水路に立ち、ウキの小さな揺れに集中する時間。そして、帰り道に味わう素朴な甘露煮の風味。どちらもこの地域に息づく“冬の楽しみ方”なのだと思う。この冬、あなたも牛久沼の水郷エリアで寒ブナとじっくり向き合ってみてはいかがだろうか。
※ 管轄漁協:牛久沼漁業協同組合
【注意事項】
釣り場近くに車を停める際には農作業の邪魔にならないようくれぐれも注意しよう。もちろん釣り場でのゴミのポイ捨てなども厳禁である。