抜けるような青空が眩しい朝、遺跡見学とウォーキングの両方が一度に楽しめるカラカラ浴場を訪れた。カトリックの巡礼の年である今年は、ローマ市内の観光名所はどこもかしこもごった返しているが、予約もせずに向かったカラカラ浴場は人も少なく、のんびりと好きなだけ時間をかけて見学することができた。コロッセオやチルコ・マッシモから徒歩10分ほどで行けるという立地の良さでありながら、この巨大空間を独り占めできるのは平日の朝ならではの特権かもしれない。歴史浪漫に浸りつつ、爽快なウォーキングも楽しめるカラカラ浴場の魅力をご紹介しよう。
■古代ローマ人の健康ランド
メトロB線のチルコ・マッシモ駅から徒歩で10分弱、ローマの松並木を脇目に歩いて行くと、カラカラ浴場のエントランスが見えてきた。オーバーツーリズムで旧市街の観光スポットはどこも激混みのローマ、チケット売り場で並ぶことを覚悟していったのだが、カラカラ浴場は拍子抜けするほど空いていた。入場料8ユーロを払い、早速遺跡へ向かう。
カラカラ浴場が完成したのは216年、ローマ帝国第22代皇帝カラカラ帝によって建設された。敷地面積は約11万平方メートル、建物の大きさは337m×333mに及ぶ巨大な公共施設で、2000〜3000に及ぶ浴槽のほか、運動のためのジムやマッサージ室、図書館、談話室なども併設した一大娯楽施設だったそうだ。日本で今も多くの人の憩いの場となっている健康ランドの原型のような印象を受ける。
ローマ市民の憩いの場であったカラカラ浴場は、毎日午後1時に湯が沸いたことを知らせる鐘の音と共に営業が始まる。男女混浴で、身分も出身も関係なく、安価で誰でも利用することができたそうだ。広大な緑に囲まれた浴場は市民のための重要な社交場でもあり、元老院の議員や皇帝も一般市民に混じって日常的に入浴を楽しんだという。
チルコ・マッシモ駅から徒歩10分のところにあるカラカラ浴場のエントランス
チケット売り場から浴場跡へと続く道。周囲は緑に囲まれた静かな環境
古代ローマ人も日参した巨大浴場は一度に1600人が利用できる規模だった
浴場跡の入り口には、内部の様子がわかる見取り図も置かれている