■試しの鎖へ到着! えっ!? 垂直!?

 1時間ほど階段を登ると、4つある中の一番最初の鎖、「試しの鎖」へ到着。成就社ルートには下から「試しの鎖(74m)」「一ノ鎖(33m)」「二ノ鎖(65m)」「三ノ鎖(68m)」がある。試しという名前だが、一番簡単というわけではなく、この先の鎖場を登れるか試す(ここがクリアできれば次も登れる)という意味がある。また、石鎚山の鎖は基本上りだけなのだが、試しの鎖だけは、登った後に反対側を鎖で下りる必要がある。

ほぼ垂直の「試しの鎖」

 登りの斜度は、肌感では垂直レベル。鎖にしがみつき、足をかけられそうな岩場を探しつつ登るのだが、なにせ長い。

 20mほど登ったあとに「あ、ダメかも」と思っても引き返すこともできず、下を向いたら怖くなるので必死に鎖を登った。正直怖かった。

 鎖を登りきっても、ゆっくりしている余裕はない。石鎚山の鎖は次から次へと登山者が訪れ、どうしても渋滞するため、一息着いたら間髪入れず下りの鎖へ。下りの鎖も垂直で、怖い。岩場に足を掛けながら、慎重に下りていく。

 鎖にはすべて迂回路があるため、自信がない人は回避できるので、少しでも不安を感じる時にはそちらをお勧めしたい。なお、試しの鎖を下りているとき、迂回路を歩く人に応援してもらえたのが心強かった。

■頂上までの最後の難所!  三ノ鎖

 試しの鎖にチャレンジし、「もう鎖はいいかな」という気持ちになったため、「一ノ鎖」と「二ノ鎖」はスキップした。元気な夫は「全部制覇したい!」と、一ノ鎖を登ったが、二ノ鎖は歩いている途中で見逃してしまい、気が付いたら最後の「三ノ鎖」まで来ていた。母は全ての鎖を迂回した。

 ちなみに4つの鎖の中で一番簡単なのは「一ノ鎖」のようだ。「一回だけ鎖登りを体験したい!」という人はそこで挑戦するのがよさそう。

最終局面という言葉がよく似合う「三ノ鎖」

 たどり着いた三ノ鎖は、威圧感がすごい。途中で少しガスが出てきたこともあり、鎖の終わりが見えない。どこまで登るのだろうか?

 「皆さん、頑張ってください!」と迂回路に向かおうとしたのだが、これを登らずして石鎚山を制したといえるのか! ということで、チャレンジすることに。

 鎖に足を掛けるのだが、明らかにこれまでの試しの鎖とはちがう。足をかける岩場を探すのに時間がかかり、気持ちが焦る場面も。何度か両手、両足が鎖の上にある状態となった際には体が揺れる。自分の足がもう10㎝長かったらスムーズに登れたのに、情けない。

 途中で休憩できる岩場があるときは、地面ってこんなに安心するのかと心から感じた。

■ついに頂上へ! ご褒美のカップラーメンがおいしすぎた

ついに西日本最高峰、石鎚山頂上へ!

 三ノ鎖を登り切った先には頂上が待っていた! 頂上には山小屋があり、定食や軽食、Tシャツなどのお土産を販売している。お湯も一杯200円で販売しているため、筆者は持参したカップラーメンにお湯を注いで食べた。沁みた。頂上から20分ほど歩くと名所の天狗岳があるのだが、体力が不安だったので今回はキャンセルした。

カップラーメンの残り湯を捨てる場所が山小屋にあった。スープを飲み干したらお腹を下す筆者にはとてもうれしい

■下山後は、温泉ソムリエイチオシの名湯石鎚山温泉へ

 16時には麓まで下山し、最後はお楽しみ、温泉タイム! 今回訪れた石鎚山温泉は、温泉ソムリエの資格をもつ母がとても楽しみにしており、四国では珍しいコロイド白濁泉だ。筆者は難しいことはよくわからないが、白く濁った炭酸泉はややぬるめで、一日中歩き疲れた体がじっくりほぐれ、すてきなお湯だった。

外観からはレトロな雰囲気が漂う石鎚山温泉

 風呂上がりは休憩所でビール! 加茂川を眺めながら風呂上がりの体に流し込むビール、どうしてこんなにうまいのか!

水が澄んでいてキレイな加茂川。暑い日は浸かりたくなるだろう

 西日本最高峰の石鎚山、登る前には十分に体力をつけてから挑戦することをおすすめする。母も2週間ではあるが、体力つくりのジョギングをしていた効果があったようだ。おそらく事前練習をしていなければ途中でバテてしまい、途中の鳥居の「健康に自信がない人はここまでにしてお帰り」の言葉通りになってしまうところだった。

 ただ、登りきった達成感と最後のビールの気持ちよさは癖になりそうだ。石鎚山登山と鎖登り、下山後の温泉の最強コンボによる、達成感と心地よい疲労感をぜひ!

 

【石鎚神社中宮成就社から山頂を目指すコース(天狗岳はなし)】
ロープウェイ下谷駅(0:00)→ ロープウェイ成就駅(0:10)→ 石鎚神社中宮成就社(0:30)→ 試しの鎖(1:40)→ 三ノ鎖(3:10)→ 頂上社(3:30)→ 頂上待機・下山開始(4:30)→ 成就社(6:30)→ ロープウェイ成就駅(6:50)→ ロープウェイ下谷駅(7:00)
歩行距離:約8.5km
合計所要時間:約7時間