剣山(つるぎさん)は、1,955mの標高を持ち、近畿以西の西日本では1,982mの石鎚山(いしづちさん)に次ぐ2番目の高さを誇る。日本百名山の1つで、登山道は整備されて歩きやすく、中腹まで行けるリフトが備わっているので、初級ハイカーでも挑戦できる高山だ。

 ゴールデンウィークから11月末まで運行している「剣山観光登山リフト」を使えば、起点の見ノ越駅(みのこしえき・1,420m)から山頂近くの西島駅(にしじまえき・1,750m)までラクラク移動できる。

剣神社から中腹の西島駅へと運んでくれるリフトだ

 また、西島駅からは複数のコースが整備されているので、体力やレベルに合わせたコース取りが可能だ。最短コースを選択すれば、山頂まで約40分ほどで到着するが、おすすめしたいのは西島駅から約1時間で登頂できる「大剣神社コース」である。

 さらにその先、山頂から次郎笈(じろうぎゅう)を結ぶ稜線は、片道およそ30~40分ほどだ。両側が切れ落ちているが、なだらかで歩きやすい稜線なので、ぜひチャレンジして次郎笈山頂まで足を延ばしてもらいたい。

■徳島県最高峰の剣山(つるぎさん・標高1,955m)!「四国の霊峰」山頂へのコース紹介

大沼を拠点として、体力に合わせたコース選択が可能だ(国土地理院地図より引用)

 登山口となる見ノ越(みのこし)までのアクセスを確認しよう。

 徳島自動車道・美馬(みま)ICから国道438号経由で約80分。「脇町(わきまち)IC」から国道492号を経由すると120分ほどだ。ICを降りてから、長い山道を走るので運転に気をつけて登山口を目指そう。見ノ越駐車場は無料で利用でき、トイレや売店も備わっている。ただし早朝には売店が営業していないので、食料や水分は事前の準備を心がけよう。

●見どころ満載の剣山!「剣山御神水」と「大剣神社」の「御塔石」

 剣神社の境内が登山口となっており、石階段登りから始まる。段差が均一でなく、見た目以上にバランスを崩しやすいので気を付けてほしい。

 また、中腹の西島駅まで「剣山観光登山リフト」の利用も可能だ。標高差330m、徒歩の場合40分ほどの道のりを15分で結んでくれるので、体力と相談してリフト利用の選択肢も視野に入れてもよいだろう。

 西島駅から山頂まではいくつかのコースがあり、最短の「尾根道コース」なら約40分で剣山山頂に立つことができる。しかし、豊富な見どころをめぐりながら60分かけて山頂を目指す「大剣神社コース」をおすすめしたい。

 登山道は整備され歩きやすい。道中にある大剣神社は、「天地一切の悪縁をたち、現世最高の良縁を結ぶ」縁結びの神様を祀っており、神社の裏手に鎮座している、御神体である巨大な御塔石(おとうせき)は必見だ。

悪縁を絶ち、良縁を結んでくれる「大剣神社」

 さらに、神社の横にある登山道を少し下ると、御塔石の基部から湧き出す水がある。日本百名水にも選出されている「御神水(おしきみず)」だ。水筒などで持ち帰ることもできるので、ぜひ味わってほしい。

こんこんと湧き出す、日本百名水「御神水」

●剣山山頂で360度パノラマ絶景を堪能!

 見どころを堪能したら、目前に迫る剣山山頂へ。山頂周辺は背の高い木々がなく、笹で覆われているので見晴らし抜群。木道デッキが広い山頂にぐるりと整備されているので、360度広がるパノラマ風景を楽しめる。晴れた日には四国山地のもうひとつの日本百名山「石槌山」をはじめ、瀬戸内海に浮かぶ島々などの絶景を見ることができる。

 山頂には山小屋「剣山頂上ヒュッテ」が営業しており、食堂の利用のほか、宿泊も可能だ。時間に余裕のあるときは、名物の半田そうめんをいただくのもおすすめだ。

剣山山頂標だ。後方には石鎚山の姿も見える