■従来のツナ缶に味を寄せてきた

単体で味わえば従来のツナ缶とあまり変わらないエブリ

 口に含めば、エブリは肉質が繊細で、タラを食べているように柔らかい。後味にもうっとりするような脂の甘味がある。一方のキハダマグロを使ったLフレークは、食感がエブリよりもしっかりしており、かめば酸味をともなったマグロ系のうま味が口いっぱいに広がる。

 ただ、これらの違いは同時に食べ比べればわかる程度で、もしエブリだけを単体で食べたら、従来のツナ缶との違いがわからないかもしれない。はごろもフーズの開発担当者たちは、試作を繰り返し、味の調整をして、エブリの味を従来のツナ缶の味にきっちり寄せてきたのである。

■エブリを料理に使うとどうなる?

マヨネーズで味付けし、タマネギなどをミックスしてみる

 ところで、ツナ缶といえばほぼ料理の素材という立ち位置である。そこでエブリにマヨネーズを加えてツナマヨ状態にし、さらにカレー粉と粒マスタード、スライスしたタマネギを加えてみた。カレー粉と粒マスタードを混ぜたのは、魚の臭いを緩和するためで、原料がブリだからというわけではない。マグロ類・カツオ原料のツナ缶でもよくやる手であります。

溶けるチーズも加えてホットサンドに

 アレンジしたエブリにチーズも加え、ツナのホットサンドにしてみた。こうなるともう、原料がブリなのか何なのかまったく分からない。ごく普通においしいツナのホットサンドである。

 ちなみに、現在エブリ(70g)はおおむね200円前後で売られている。シーチキンLフレーク(70g)も同じような価格だけど、原料のキハダマグロは基本的に輸入物が使われている。また、ほかのツナ缶原料であるビンナガマグロやカツオも、国内で水揚げされた量だけでは製造できず、ほとんどのメーカーが輸入原料をメインにしている。

 原料が輸入物ということは、価格の変動リスクがあるということだ。世界的な健康ブームでツナ缶の需要が高まっているから、マグロ類・カツオを輸入するには、ほかの国との入札競争に勝たないといけない。つまりお金が掛かる。

 それに対してブリは、輸入物はほとんどない。国内で水揚げされた魚(養殖含む)だけで需要がまかなえるのだ。そんな原料事情から見ても、ブリは缶詰業界にとって期待のホープなのであります。

 

〈今回の缶詰情報〉

はごろもフーズ「シーチキン・エブリ70g」