■セセリチョウは見分けができるようになると面白い!
セセリチョウは一見地味な虫だが、見分けができるようになると楽しくなる、”通好み”の虫である。
姿は似ているが、じつはいろいろな種がいるため、思わぬ発見や出会いがシンプルに嬉しいし、「微妙な違いに気付けた」と自分の中でムフフとすることもできる。
セセリチョウの仲間でオーソドックスな姿を持つのが、小柄ではねにある白い斑点が最も控えめな「チャバネセセリ」。

このチャバネセセリによく似た姿の種がたくさんいるわけだが、セセリチョウへの理解が高まり解像度が高くなると、種ごとに個性があることに気付けるのだ。
例えば、白い斑点が一直線に並ぶ「イチモンジセセリ」。

また、白い斑点がジグザグに並ぶ&頭部が緑色に輝くものが多い「オオチャバネセセリ」。

じつは僕自身、以前はセセリチョウは「地味な虫」と考え、セセリチョウを見ると「チャバネセセリかな」くらいにしか見ていなかった。しかしその後、ちゃんと昆虫を観察するようになると、”チャバネセセリだと思っていたものが、じつはチャバネセセリではない”という体験を多くした。むしろチャバネセセリに会うことの方が少ないくらいだった。
そうしてセセリチョウの多様さと面白さを思い知ったわけだが、今ではセセリチョウを見ると必ず識別ポイントをチェックしてしまうほどである。
ちなみに、セセリチョウの仲間の中でも、派手目の姿を持つものもいる。
例えば、「アオバセセリ」は”青いはね”を持つチョウで、日本で見られるセセリチョウの中ではもっともカラフルなセセリチョウと言えるかもしれない。

また、春先に里山で見られる「ミヤマセセリ」。はねを広げた時に見えるエレガントな姿が魅力だ。

「ダイミョウセセリ」は大名の羽織袴のようなはねを持つ。止まり方も他種とはちがうため、全体的なイメージもセセリチョウとは異なる。

このように、セセリチョウの姿は多様であり、その多様性を理解すると観察対象としてとても面白いチョウだ。
9〜10月の秋の季節は、セセリチョウの仲間が花壇の花や林縁の花によく集まる。この絶好の観察シーズン、一見地味だけど奥が深いセセリチョウをぜひ探してみてほしい。